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Festa A, Williams K, Tracy RP, Wagenknecht LE, Haffner SM: Progression of plasminogen activator inhibitor-1 and fibrinogen levels in relation to incident type 2 diabetes. Circulation 2006; 113: 1753-1759. [PubMed]

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●目的 プラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI)-1およびフィブリノーゲンの変化と2型糖尿病新規発症との関係を検討した。IRASのサブ解析。
●デザイン 疫学研究,多施設。
●試験期間 追跡期間は平均5.2年。
●対象患者 843例:IRASの参加者(1624例)のうち,PAI-1およびフィブリノーゲンのデータが得られ,かつベースラインに糖尿病を認めない例。女性57%,平均54.7歳。
●方法 ベースラインおよび追跡期間のPAI-1レベルおよびフィブリノーゲンレベルと,代謝関連パラメータおよび糖尿病新規発症との関係を検討。
●結果 追跡期間に140例(16.6%)が糖尿病を発症した。
糖尿病発症例では非発症例に比し,ベースラインおよび追跡期間のPAI-1レベル(ベースライン:23.7 vs 14.5ng/mL[p<0.001],追跡期間:45.3 vs 25.9ng/mL[p<0.001])およびフィブリノーゲンレベル(ベースライン:286.2 vs 273.6mg/dL[p=0.016],追跡期間:292.0 vs 275.2mg/dL[p=0.006])が有意に高かった(人口統計学的因子および喫煙について補正)。
Spearmanの相関係数(人口統計学的因子および喫煙について補正)を用いた解析では,PAI-1レベルの変化は血糖値(空腹時およびOGTT 2時間値)の変化と相関を示したが(いずれもp<0.0001),フィブリノーゲンレベルの変化と血糖値の変化には相関は認められなかった。
ロジスティック回帰モデル(人口統計学的因子および喫煙について補正)を用いた解析では,ベースラインのPAI-1レベルを補正後,PAI-1レベルの変化は糖尿病新規発症と相関を示した(1SDの上昇に伴うオッズ比[OR]1.75,95%CI 1.37-2.22,p<0.0001)。さらにインスリン感受性(OR 1.66,95%CI 1.28-2.15,p<0.001)または腹囲(OR 1.64,95%CI 1.28-2.10,p<0.001)を補正後も,PAI-1レベルの変化と糖尿病新規発症との相関はなお有意であった。一方,フィブリノーゲンレベルの変化と糖尿病新規発症には相関は認められなかった。
●結論 ベースラインにおけるPAI-1高値に加え,追跡期間のPAI-1レベルの上昇も,糖尿病新規発症と相関を示した。PAI-1レベルは血糖値上昇および糖尿病発症に伴って上昇したが,フィブリノーゲンレベルにはそのような変化はみられなかった。これらの知見は,フィブリン溶解能および凝固能の異常と2型糖尿病の新規発症との関係についての現在の知識をさらに進展させるものである。