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Norman PE, Davis WA, Bruce DG, Davis TM: Peripheral arterial disease and risk of cardiac death in type 2 diabetes: the Fremantle Diabetes Study. Diabetes Care 2006; 29: 575-580. [PubMed]
新たに診断された2型糖尿病患者でのUKPDSでは,PADの定義は異なるが(ABI<0.80,足背動脈の脈の消失,跛行),その頻度が1.2%と報告されている。ABI≦0.90とした今回の検討では,その頻度は13.6%,新たな発症率は3.7/100人・年と,かなり高率である。また,PADを有する患者の心臓死リスクが1.67倍となることも注目に値する。いずれにしても,糖尿病患者の診療にあたり,定期的にABIをモニターする臨床的意義が示されたといえる。【片山茂裕】
●目的 | 2型糖尿病患者における末梢動脈疾患(PAD)の有病率および新規発症率を検討し,PADの心臓死リスクへの影響および適切なPADリスク因子の管理について検討した。 |
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●デザイン | 観察研究。 |
●試験期間 | 登録期間は1993~1996年。 |
●対象患者 | 1294例:オーストラリア西部に在住の2型糖尿病患者。平均64.1歳。男性48.8%。 |
●方法 | 患者を毎年追跡して生化学的データを収集し,足首上腕血圧比(ABI)を算出。 ベースライン時のPADの有病率を検討し,さらに5回以上の追跡データが完全に得られた531例(サブグループ)について,新規PAD発症を追跡。PADの定義は連続した2回のABI≦0.90またはPAD関連の下肢切断術とした。 |
●結果 | ベースライン時のPADの有病率は13.6%,サブグループにおける新規PAD発症率は3.7/100人・年であった。 PAD有病率および新規PAD発症率はいずれも,年齢(10歳上昇ごとのオッズ比[OR]:有病率1.95,発症率2.72),SBP(10mmHg上昇ごとのOR:それぞれ1.11,1.23),総コレステロール値(1mmol/L上昇ごとのOR:それぞれ1.24,1.39)と強力かつ独立して相関し,とくに現在の喫煙習慣(OR:それぞれ2.78,4.45)と相関が強かった。 PADリスク因子の管理は追跡期間に改善されたが,依然として不十分であった。 追跡期間の心臓死発生率は,ABI≦0.90の患者では50.7%,ABI>0.90の患者では26.0%であった。Cox比例ハザードモデルにおいては,ABI≦0.90の患者では0.91~1.40の患者に対し,心臓死リスクが67%上昇していた(ハザード比1.67,p=0.010)。 |
●結論 | 2型糖尿病患者において,ABIの評価はPAD検出の際の簡便な方法であった。糖尿病患者におけるPADの有病率は高く,また心臓死の予測因子でもあった。これらの知見により,糖尿病患者における血管リスク因子の管理にあたってPADの定期的なスクリーニングが重要であることが示唆された。 |
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