編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Pohl MA, Blumenthal S, Cordonnier DJ, De Alvaro F, Deferrari G, Eisner G, Esmatjes E, Gilbert RE, Hunsicker LG, de Faria JB, et al.: Independent and additive impact of blood pressure control and angiotensin II receptor blockade on renal outcomes in the irbesartan diabetic nephropathy trial: clinical implications and limitations. J Am Soc Nephrol 2005; 16: 3027-3037. [PubMed]

目標降圧レベルとJカーブ現象の有無は高血圧治療における重要な検討課題である。本研究の対象となった2型糖尿病の腎症において,腎アウトカムに関してはJカーブ現象は認められなかった。一方,全死亡ではJカーブ現象が認められた。ただし,経過中のSBP<121mmHgの患者数は限られているので,糖尿病性腎症における目標降圧レベルについてはさらなる検討を要する。また,同一降圧レベルにおけるirbesartanの効果が確認された。【景山 茂

●目的 腎症および高血圧を有する2型糖尿病患者において,腎症進展抑制および全死亡率低下を図るための至適血圧を決定し,降圧薬(AII受容体拮抗薬irbesartan,Ca拮抗薬amlodipine)の腎保護作用および達成血圧値と腎アウトカム(血清クレアチニン値の2倍上昇または末期腎不全)の関係を検討した。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は1996年3月1日~1999年2月25日。試験期間は~2000年12月31日。追跡期間は平均2.6年。
●対象患者 1590例:IDNT試験の参加者(腎症および高血圧を有する2型糖尿病患者1715例)のうち,血圧および腎アウトカムについての追跡調査を完了した例。平均血圧159/87±20/11mmHg。
登録基準:30~70歳。高血圧(座位SBP>135mmHg,座位DBP>85mmHg,降圧薬治療のいずれか)。蛋白尿(>900mg/24時)および軽度~中等度の腎不全(血清クレアチニン値1.0~3.0mg/dL[女性]または1.2~3.0mg/dL[男性])。
●方法 患者を,irbesartan(300mg/日)群,amlodipine(10mg/日)群,プラセボ群にランダム化。本解析の対象は,irbesartan群537例,amlodipine群523例,プラセボ群530例。
SBPの目標値は,ベースライン値≦145mmHgの場合は<135mmHg,ベースライン値146~170mmHgの場合は10mmHgの低下,ベースライン値>170mmHgの場合は160mmHg(最大許容SBP値)とした。DBPの目標値は,全例において≦85mmHgとした。
必要に応じてAII受容体拮抗薬,ACE阻害薬,Ca拮抗薬以外の降圧薬を併用。
●結果 試験期間の平均血圧は,irbesartan群141/78mmHg,amlodipine群142/77mmHg,プラセボ群144/80mmHgであった。
ベースラインのSBP値(四分位で検討)と腎アウトカムの発生率は有意に相関していた(最高値[>170mmHg]群36%,最低値[<145mmHg]群18%,P<0.0001)。ベースラインのDBP値と腎アウトカムとの相関は弱かった(P=0.065)。
追跡期間のSBP値を四分位に分けて検討すると,最高値(>149mmHg)群の腎アウトカムの発生率は,最小値(<134mmHg)群の約2.2倍であった(38 vs 17%)。追跡期間のDBP値と腎アウトカムには相関を認めなかった。
多変量モデルにおける検討では,追跡期間のSBP値はベースライン値とは独立して腎アウトカムと相関することが示され,追跡期間におけるSBP値の20mmHg低下により腎アウトカム発生リスクは47%低下した(相対リスク[RR]0.53,95%CI 0.46-0.64,P<0.0001)。
次に,追跡期間のSBP値が低すぎることによる腎アウトカムまたは全死亡への悪影響を検討したところ,腎アウトカムについては悪影響は認めなかったが,全死亡については,≧120mmHgの場合はSBP値上昇とリスク上昇は線形に相関していたものの,<120mmHgの症例では>180mmHgの症例と同等にリスクが上昇していた。
さらに,追跡期間のSBP値と治療群および腎アウトカムの関係を検討したところ,いずれの治療群においてもSBP値低下に伴いリスクは低下したが,irbesartan群では他の治療群に比べリスクが33%低下していた(RR 0.67,P=0.0002)。<134mmHgの症例における検討でも,irbesartan群では他の治療群に比べてリスクが低下していた(RR 0.55,P=0.034)。
●結論 腎症および高血圧を有する2型糖尿病患者において,追跡期間のSBP値と腎アウトカム発生リスクは有意に相関していた。また,AII受容体拮抗薬は,達成SBP値に関わらず腎保護作用を有することが示された。これらの患者においては,目標SBP値を120~130mmHgとし,降圧薬はAII受容体拮抗薬を用いることを推奨する。