編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Friedman AN, Hunsicker LG, Selhub J, Bostom AG, Collaborative Study Group: Total plasma homocysteine and arteriosclerotic outcomes in type 2 diabetes with nephropathy. J Am Soc Nephrol 2005; 16: 3397-3402. [PubMed]

血清ホモシステイン値は,2型糖尿病患者においても心血管疾患の予測因子であることが,過去に数多く報告されている。顕性腎症を有する高血圧の2型糖尿病患者において行われたIDNT試験では,ネガティブな結果となった。これらの患者群は心血管疾患の高リスク群であるため,ホモシステインとの関連が消失したとも考えられる。また,GFRとホモシステインの逆相関も関連するかもしれない。【片山茂裕

●目的 心血管リスクが高く,腎症を有する2型糖尿病患者において,血清ホモシステイン値と動脈硬化性アウトカムおよびうっ血性心不全(CHF)との関係を検討した。
一次アウトカムは動脈硬化性アウトカム(心血管死,心筋梗塞,脳卒中,下肢切断,予定外の心または末梢血管の血行再建術),二次アウトカムはCHFイベント(入院を要するCHF,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬投与)。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(北米,南米,欧州,アジア)。
●試験期間 登録期間は1996年3月21日~1999年2月25日。追跡期間は平均2.6年。
●対象患者 1575例:IDNTの参加者(腎症,顕性蛋白尿,高血圧を有する2型糖尿病患者1715例)のうち血清ホモシステイン値の得られた例。平均58歳。
登録基準:30~70歳,24時間尿中蛋白排泄量≧900mg,血清クレアチニン値1.0~3.0mg/dL(女性)または1.2~3.0mg/dL(男性),血圧>135/85mmHgまたは降圧薬治療。
●方法 動脈硬化性アウトカムおよびCHFイベントの発生を追跡し,血清ホモシステイン値との関係を検討した。
●結果 解析対象の多くが既知の心血管リスク因子(心血管疾患,喫煙,肥満,脂質代謝異常)を有し,また血清ホモシステイン高値(>12μM)であった。
追跡期間に動脈硬化性アウトカム492件(364例),CHFイベント317件(206例)が発生した。
単変量モデルを用いて解析したところ,血清ホモシステイン値(五分位:4.5~11,>11~13,>13~15,>15~19,>19μM)と動脈硬化性アウトカムの間に有意な相関は認められず,多変量モデルを用いて治療群(AII受容体拮抗薬irbesartan,Ca拮抗薬amlodipine,プラセボ)および既知の心血管リスク因子を補正後も同様であった。動脈硬化性アウトカムの最も強力な予測因子は(補正後),ベースラインにおける心血管疾患(相対リスク[RR]1.77,95%CI 1.41-2.21,p<0.0001),次にDBP(RR[10mmHgの上昇あたり]0.85,95%CI 0.77-0.94,p=0.0015)であった。
また血清ホモシステイン値とCHFイベントについては,単変量モデルでは有意な相関が認められたが,血清クレアチニン値をモデルに加えたところ,この有意な相関は消失した。
●結論 本試験の結果から,腎症を有する2型糖尿病患者における新規または再発性心血管イベントの予測における血清ホモシステイン値の有用性に疑問が生じた。本試験のネガティブな結果が心血管リスクのきわめて高い患者においても適用されるか否かを確認するため,さらなる研究が必要である。血清ホモシステイン値の予測能に関して過去に得られた知見は,血清ホモシステイン値が心血管リスク因子である腎疾患のサロゲートマーカーであることから説明可能であると考えられる。