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Freire RD, Cardoso MA, Gimeno SG, Ferreira SR, Japanese-Brazilian Diabetes Study Group: Dietary fat is associated with metabolic syndrome in Japanese Brazilians. Diabetes Care 2005; 28: 1779-1785. [PubMed]
食事内容とメタボリックシンドロームとの関連を検討した成績は数少ない。今回の日系ブラジル人で行われた成績は,われわれ日本人にとって警鐘をならす結果でもある。【片山茂裕】
●目的 | 代謝異常の高リスクである日系ブラジル人において,栄養摂取量とメタボリックシンドロームとの関係を検討した。 |
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●デザイン | 疫学。 |
●試験期間 | - |
●対象患者 | 877例:≧30歳の日系ブラジル人で,治療が食事内容に影響する疾患(糖尿病,高血圧,高脂血症など)を認めない例。男性412例(平均55.7歳),女性465例(平均54.4歳)。 |
●方法 | 定量的食物摂取頻度調査票により食事内容についてのデータを入手。また,身体活動,喫煙状況,教育レベル,体重および身長(BMIを算出),ウェスト周囲径,血圧についても調査。メタボリックシンドロームの診断は,NCEP ATP IIIのアジア人の基準に従った(以下の3項目以上を満たす場合:空腹時血糖値≧110mg/dL,SBP≧130mmHgまたはDBP≧85mmHg,HDL-C値<50mg/dL[女性]または<40mg/dL[男性],トリグリセリド値≧150mg/dL,ウェスト周囲径≧80cm[女性]または≧90cm[男性])。 |
●結果 | メタボリックシンドロームの有病率は,男性49.8%(95%CI 44.8-54.6),女性43.0%(95%CI 38.4-47.6)であった。 メタボリックシンドロームを有する男性では有さない男性に比し,食事内容におけるコレステロール摂取量が多く(233.2 vs 211.1g/日,P<0.05),炭水化物摂取量が少なかったが(288.5 vs 300.1g/日,P<0.001),女性においてはメタボリックシンドロームの有無による有意差は認められなかった。 性別,年齢,喫煙状況,教育レベル,世代,身体活動,総エネルギー摂取量,食物繊維摂取量を補正後の解析では,メタボリックシンドロームと総脂肪摂取量との間に有意な相関が認められた。総脂肪摂取量により対象者を5群に分けて検討すると,最高値群では最低値群に比し,メタボリックシンドロームの有病率が5倍であった(オッズ比5.03[95%CI 1.58-16.0],P<0.005)。一方で,リノール酸については摂取量が多いほどメタボリックシンドロームの有病率は低かった(最高値群 vs 最低値群:オッズ比0.50[95%CI 0.26-0.98],P<0.05)。 食事内容を食品群(果物,穀物,赤身肉,魚,卵,油脂および揚げ物)に分けて検討すると,揚げ物食品のみがメタボリックシンドロームの有病率と相関していた。 |
●結論 | 研究方法に限界はあるものの,本研究の結果により,日系ブラジル人において,総脂肪摂取量が多いことはメタボリックシンドロームのリスク因子であり,リノール酸摂取によりそのリスクは低下することが示された。 |
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