編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Boner G, Cooper ME, McCarroll K, Brenner BM, de Zeeuw D, Kowey PR, Shahinfar S, Dickson T, Crow RS, Parving HH, et al.: Adverse effects of left ventricular hypertrophy in the reduction of endpoints in NIDDM with the angiotensin II antagonist losartan (RENAAL) study. Diabetologia 2005; 48: 1980-1987. [PubMed]

腎症を伴う高血圧合併糖尿病患者は,末期腎不全のみならず心疾患の高リスク群であることが,近年ようやく認識されるようになってきた。このような患者群においても,LVHは末期腎不全や心イベントのリスクとなり,losartan治療によりこれらのリスクが低減されることが示された。なおAII受容体拮抗薬が心筋梗塞を増加させるとの論評があったが(BMJ 2004; 329: 1248-1249),本成績はこのような事実を否定するものである。【片山茂裕

●目的 腎症を伴う2型糖尿病患者において,左室肥大(LVH)が腎および心血管(CV)アウトカムに及ぼす影響を検討し,さらにそれらに対するAII受容体拮抗薬losartan治療の有効性を評価した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設(28ヵ国,250施設)。
●試験期間 追跡期間は平均3.4年。
●対象患者 1513例:腎症(起床時のアルブミン尿>300mg/gCrまたは蛋白尿>0.5g/日,かつ血清クレアチニン値1.3~3.0mg/dL)を伴う2型糖尿病患者。31~70歳。LVH例187例(12%)。
除外基準:試験参加前1~12ヵ月のCVイベントまたはインターベンションの既往。
●方法 患者を尿中アルブミン・クレアチニン比(<2000mg/gCrまたは≧2000mg/gCr)で層別化し,losartan群751例と,プラセボ群762例にランダム化。losartanは50mg/日から投与開始し,100mg/日まで増量。目標血圧(坐位血圧<140/90mmHg)に到達しない場合,他の降圧薬(ACE阻害薬およびAII受容体拮抗薬を除く)を追加投与。
ベースライン時および以後毎年,12誘導心電図検査を実施し,Cornell productおよびSokolow-Lyon voltageによりLVHを評価。比例ハザードモデルにて,losartan投与およびLVHの有無と腎またはCVイベントリスクの関係を評価。
●結果 losartan治療により,Cornell product(-6.2%)およびSokolow-Lyon voltage(-6.3%)は有意に減少した。
losartan投与およびLVHの有無とエンドポイントリスクを検討したところ,プラセボ群のLVH例でリスクがもっとも高く,プラセボ群の非LVH例に比し,一次複合エンドポイント(血清クレアチニン値の2倍上昇[DSCR],終末期腎不全[ESRD],死亡)のハザード比は1.44(p=0.011),複合腎エンドポイント(DSCR,ESRD)は1.42(p=0.031),CVイベントリスクは1.68(p=0.001)と,リスクが有意に上昇していた。losartan群のLVH例におけるハザード比は,それぞれ1.04,0.95,1.07で,LVHによるリスク上昇は認められなかった。
●結論 腎症を伴う2型糖尿病患者において,LVHによりCVイベントおよび腎疾患進展リスクが有意に上昇した。しかし,LVH例においても,losartan治療によりそれらのリスクは非LVH例と同等まで低下することが示された。