編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Dormandy JA, Charbonnel B, Eckland DJ, Erdmann E, Massi-Benedetti M, Moules IK, Skene AM, Tan MH, Lefebvre PJ, Murray GD, et al: Secondary prevention of macrovascular events in patients with type 2 diabetes in the PROactive Study (PROspective pioglitAzone Clinical Trial In macroVascular Events): a randomised controlled trial. Lancet 2005; 366: 1279-1289. [PubMed]

「経口糖尿病薬が心血管疾患の発症を予防できるか」という命題に初めて答えた大規模臨床試験である。日常臨床においてできうる治療はすべて行ったうえで,pioglitazone投与のみに差をつけて2型糖尿病患者に対する心血管疾患の二次予防効果を検討したものである。結果は,残念ながら一次エンドポイントに関しては有意な差は認められなかったが,二次エンドポイントでは16%のイベント抑制効果を認めた。
この試験の特徴は,(1)すでにエビデンスが証明されたさまざまな心血管治療薬(ACE阻害薬,利尿薬,スタチン系薬剤,抗血小板薬など)が多くの患者に処方されていること,(2)すでに多種類の経口糖尿病薬やインスリンが処方されており,これらをwash-outすることはなされていないこと,(3)平均HbA1c値はこれらの薬剤により7%台にコントロールされていること,などのように,pioglitazoneにとってはきわめて不利な条件下で展開されていることにある。しかるに,二次エンドポイント抑制の16%という数字は,決してインパクトの少ないものではないことが理解できるであろう。また,血糖コントロール改善を求めるために試験期間中にインスリン治療を開始した症例はpioglitazone群で53%も少なく,それでもHbA1c値がさらに低下していることは,きわめてimpressiveなデータである。【河盛隆造

●目的 高リスクの2型糖尿病患者において,pioglitazone(インスリン抵抗性改善薬)による大血管障害の発生および死亡の減少効果を検討した。
一次エンドポイントは,全死亡,非致死性心筋梗塞(MI:無症候性MIを含む),脳卒中,急性冠症候群(ACS),冠または下肢動脈における血管内または外科的インターベンション,足首より上の下肢切断の複合エンドポイント。
二次エンドポイントは,全死亡,非致死性MI(無症候性MIを除く),脳卒中の複合エンドポイント。
●デザイン 無作為,前向き,多施設(欧州19ヵ国),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2001年5月~2002年4月。最終追跡は2004年11月~2005年1月。追跡期間は34.5ヵ月。
●対象患者 5238例:大血管障害リスクの高い2型糖尿病患者。
登録基準:35~75歳。HbA1c値>6.5%。試験参加の6ヵ月以上前のMIまたは脳卒中,登録の6ヵ月以上前のPCIまたはCABG,登録の3ヵ月以上前のACS,冠動脈疾患または下肢の閉塞性動脈性疾患。
除外基準:1型糖尿病。インスリン治療のみを実施。冠または末梢血管の血行再建術の予定。NYHAクラス2以上の心不全。下肢の虚血性潰瘍,壊疽,安静痛。血液透析の実施。ALT値が正常上限の2.5倍以上。
●方法 患者を,経口pioglitazone群(2605例)およびプラセボ群(2633例)にランダム化。他の経口血糖降下薬および糖尿病治療薬は継続投与。
・pioglitazone群では,最初の1ヵ月は15mg,2ヵ月目は30mg,その後は45mgを投与。
・患者を,1,2ヵ月後,以後は1年目は2ヵ月ごと,2年目以降は3ヵ月ごとに追跡し,エンドポイントの発生を追跡。
●結果 各群1例が追跡不能であったが,解析には組み入れた。
追跡期間に一次エンドポイントの1つ以上の発生を認めたのは,pioglitazone群514例,プラセボ群572例で(ハザード比[HR]0.90,95%CI 0.80-1.02,p=0.095),二次エンドポイントの発生を認めたのは,pioglitazone群301例,プラセボ群358例であった(HR 0.84,95%CI 0.72-0.98,p=0.027)。
pioglitazonの全体的な安全性および忍容性は良好であった。心不全による入院は,pioglitazone群149例(6%),プラセボ群108例(4%)であったが(p=0.007),心不全による死亡率は同等であった(1 vs 1%)。
●結論 大血管イベントリスクの高い2型糖尿病患者において,pioglitazone投与により全死亡,非致死性MI,脳卒中の発生が減少した。