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Ingelsson E, Sundstrom J, Arnlov J, Zethelius B, Lind L: Insulin resistance and risk of congestive heart failure. JAMA 2005; 294: 334-341. [PubMed]
糖尿病が心不全のリスクになることは,よく知られている。高齢男性という集団ではあるが,インスリン抵抗性が心不全のリスクとなることが本検討で示された。したがって,従来いわれている肥満と心不全の関連は,インスリン抵抗性で説明できるのかもしれない。いずれにしても,クランプ法で多数のインスリン抵抗性を測定した貴重なデータである。【片山茂裕】
●目的 | インスリン抵抗性のうっ血性心不全(CHF)に対する予測能を検討し,肥満とCHFの関係におけるインスリン抵抗性の関与について検討した。 |
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●デザイン | 前向き,コホート。 |
●試験期間 | 追跡期間は~2002年末(中央値8.9年)。 |
●対象患者 | 1187例:Uppsala Longitudinal Study of Adult Menの参加者(スウェーデンのUppsalaに居住し,1970~1974年時点で≧50歳の男性2322例)のうち,1990~1995年に実施された再調査でデータが得られ,かつCHFおよび弁膜症を有さない高齢(≧70歳)の男性。 |
●方法 | Cox比例ハザード解析によりインスリン抵抗性(クランプ法による糖処理率)および肥満(BMI,ウエスト周囲径)のCHFに対する予測能を検討。 |
●結果 | 追跡期間中に104例がCHFを発生した。 多重Cox比例ハザード解析により既知のリスク因子(心筋梗塞の既往,高血圧,糖尿病,心電図所見における左室肥大,喫煙,血清コレステロール値)を補正したところ,1SDの上昇に伴うCHFのリスクは,OGTT 2時間値(ハザード比[HR]1.44,95%CI 1.08-1.93),空腹時血清プロインスリン値(HR 1.29,95%CI 1.02-1.64),BMI(HR 1.35,95%CI 1.11-1.65),ウエスト周囲径(HR 1.36,95%CI 1.10-1.69)で上昇し,クランプ法による糖処理率で低下した(HR 0.66,95%CI 0.51-0.86)。 クランプ法による糖処理率を共変数としてこのモデルに加えたところ,肥満のCHFに対する有意な予測能は消失した。 |
●結論 | 本試験の大規模コホートにおいて,高齢男性のインスリン抵抗性はCHFに対する予測能を示し,これは糖尿病を含む既知のリスク因子とは独立したものであった。これまでに報告されている肥満とCHFの相関には,インスリン抵抗性が大きく寄与しているものと思われる。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1283件のトライアルを収載しています。