編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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van Hecke MV, Dekker JM, Stehouwer CD, Polak BC, Fuller JH, Sjolie AK, Kofinis A, Rottiers R, Porta M, Chaturvedi N: Diabetic retinopathy is associated with mortality and cardiovascular disease incidence: the EURODIAB prospective complications study. Diabetes Care 2005; 28: 1383-1389. [PubMed]

最近,腎症患者においてCVDが高率に発生することが注目されている。本検討では,増殖網膜症患者において,CVDのリスク因子で補正しても,全死亡やCVDの発症率が約2倍に達した。このことは,増殖網膜症とCVDの発症にはなんらかの共通の機序(たとえばAGE,内皮細胞障害,炎症など)が存在するものと考えられる。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,非増殖および増殖網膜症と全死亡および心血管疾患(CVD)発症の関係を検討し,それに関連する心血管リスク因子を検討した。
アウトカムは全死亡,致死性および非致死性CVD(心筋梗塞,狭心症,冠動脈バイパス術,脳卒中,心電図上の虚血性変化)。
●デザイン 疫学,多施設(欧州16ヵ国)。
●試験期間 追跡期間は6~8年(中央値7.5年)。
●対象患者 2237例:EURODIAB登録患者(1型糖尿病[診断時年齢<36歳,診断後1年以内にインスリン治療を要する]患者3250例,15~60歳)のうち眼底写真が得られた例。
除外基準:罹病期間<1年。妊婦。
●方法 片眼ごとに2方向眼底写真を撮影し,患者を非網膜症例(1210例),非増殖網膜症例(795例),増殖網膜症例(232例)に分類。非増殖網膜症の定義は,1つ以上の微細動脈瘤,出血,および/または浸出性変化とし,増殖網膜症の定義は,すべての新生血管,線維性増殖,前網膜症性出血,光凝固術瘢痕とした。
6~8年後に追跡し,死亡およびCVD発症の評価,および心血管リスク因子(血圧,脂質値,HbA1c値,尿中アルブミン排泄率,BMI,ウェスト-ヒップ比,喫煙,CVD既往)の評価を実施。
●結果 追跡期間の死亡は64例(非網膜症例18例[1.5%],非増殖網膜症例24例[3.0%],増殖網膜症例22例[9.5%])であった。年齢および性別を補正後の全死亡のハザード比(HR:vs 非網膜症例)は,非増殖網膜症例1.45(95%CI[以下同]0.71-2.96),増殖網膜症例4.16(1.96-8.84)であり,心血管リスク因子を補正すると,非増殖網膜症例ではこの相関は消失したが(HR 0.54[0.19-1.53]),増殖網膜症例では有意でないものの依然としてリスクは2倍であった(HR 2.06[0.63-6.73])。
追跡期間のCVD発症は128例(それぞれ43例[4.1%],60例[8.9%],25例[13.6%])であった。年齢および性別を補正後のCVD発症のHR(vs 非網膜症例)は,非増殖網膜症例1.73(1.15-2.60),増殖網膜症例2.05(1.22-3.45)であり,心血管リスク因子を補正後は,いずれの症例においても相関は減弱した(それぞれのHR:1.30[0.74-2.29],1.63[0.80-3.33])。
●結論 1型糖尿病患者において,非増殖および増殖網膜症を認める症例では全死亡およびCVD発症リスクが増大していた。心血管リスク因子はこの相関に大きく関与していたが,増殖網膜症と全死亡リスクにおいては関与が認められず,両者を惹起する他の共通の機序の関与が示唆された。