編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Remuzzi G, Ruggenenti P, Perna A, Dimitrov BD, de Zeeuw D, Hille DA, Shahinfar S, Carides GW, Brenner BM, RENAAL Study Group: Continuum of renoprotection with losartan at all stages of type 2 diabetic nephropathy: a post hoc analysis of the RENAAL trial results. J Am Soc Nephrol 2004; 15: 3117-3125. [PubMed]

RENAAL試験の事後解析である。腎機能が悪い例では,ARBの投与により高カリウム血症などの有害事象が多くなると予想されたが,必ずしもそうではなかった。血清クレアチニン値により患者を3群に層別した今回の解析では,いずれの群においてもESRDおよび心不全のリスクが減少し,蛋白尿も減少した。その減少度は血清クレアチニン高値例ほど大きく,したがって費用対効果も大きかった。【片山茂裕

●目的 腎症を伴う2型糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬(ARB)losartanの有効性および忍容性をベースライン時の腎機能別に検討した。RENAAL試験のpost hoc解析。
有効性のアウトカムは,終末期腎不全(ESRD[透析または腎移植の必要性]),心不全による入院。安全性のアウトカムは,有害事象(高カリウム血症,腎機能悪化,うっ血性心不全,左室機能不全)による脱落。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設(28ヵ国),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均3.4年。
●対象患者 1513例:腎症を伴う2型糖尿病患者。31~70歳。
登録基準:糖尿病診断時>30歳。糖尿病ケトアシドーシスの既往なし。診断後6ヵ月以内にインスリン投与の必要なし。尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)>300mg/gCrまたは24時間尿中蛋白>500mg。血清クレアチニン値>1.5(女性または体重<60kgの男性では1.3)~3.0mg/dL。HbA1c値<12%。
除外基準:1型糖尿病。非糖尿病性腎疾患。
●方法 患者をアルブミン尿レベル(<2g/g,≧2g/g)で層別化し,losartan群とプラセボ群にランダム化。全例で従来の降圧薬治療(ACE阻害薬およびARBを除く)を実施。
患者をベースライン時の血清クレアチニン値によって3症例に分け(高値例[>2.0mg/dL]511例,中等値例[1.6~2.0mg/dL]508例,低値例[<1.6mg/dL]494例),ESRD,心不全による入院,有害事象による脱落の発生を比較。さらに,ESRD罹病期間とその期間の治療費から個々の患者におけるESRD関連費用を算出し,症例間で比較。
●結果 ESRDリスクは,losartan群でプラセボ群に比し,高値例では24.6%(p=0.048),中等値例では26.3%(p=0.14),低値例では35.3%(p=0.21)低下した。蛋白尿は,すべての症例においてlosartan群で低下した(高値例:24 vs -8%,中等値例:16 vs -8%,低値例:15 vs -10%)。
心不全による入院は,losartan群でプラセボ群に比し,高値例では50.2%(p=0.0028),中等値例では45.1%(p=0.011)低下し,低値例では有意でないものの42.5%(p=0.2)増加した。
有害事象による脱落は,両群間および症例間で同等であった。
4年間のlosartan治療によるESRDイベント減少は,高値例では18.9イベント/100例,中等値例では8.4イベント/100例,低値例では2.9イベント/100例と推定され,腎移植を免れたことによる費用減少は,高値例では1,502,855ドル/100例,中等値例では1,021,770ドル/100例,低値例では528,591ドル/100例と推定された。
●結論 腎症を伴う2型糖尿病患者において,losartan治療によりESRDおよび心不全による入院が減少した。また,losartan治療の忍容性はいずれの腎機能レベルにおいても良好であった。したがって,ARBによる治療は,腎移植を必要とするような高度腎症を伴う2型糖尿病患者に対しても安全かつ適切であることが示された。