編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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de Zeeuw D, Remuzzi G, Parving HH, Keane WF, Zhang Z, Shahinfar S, Snapinn S, Cooper ME, Mitch WE, Brenner BM: Proteinuria, a target for renoprotection in patients with type 2 diabetic nephropathy: lessons from RENAAL. Kidney Int 2004; 65: 2309-2320. [PubMed]

アルブミン尿(といってもRENAAL試験の場合は蛋白尿であるが)は,腎症の進展の大きなリスクであり,血圧を低下させることはもちろんであるが,アルブミン尿をできるだけ減少させることが腎保護に重要であることが明白に示された。【片山茂裕

●目的 腎症を伴う2型糖尿病患者において,ベースライン時のアルブミン尿が独立した腎リスクの指標となるかを検討し,AII受容体拮抗薬losartan治療による初期のアルブミン尿減少が長期的な腎保護効果の指標となり,治療後のアルブミン尿が腎リスクの指標となるかを検討した。
一次エンドポイントは腎アウトカム(血清クレアチニン値上昇[2倍],末期腎不全[ESRD],死亡の複合イベント,および個々のイベント)。二次エンドポイントはアルブミン尿の減少。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(28ヵ国)。
●試験期間 追跡期間は平均3.4年。
●対象患者 1513例:腎症を伴う2型糖尿病患者。31~70歳。
登録基準:糖尿病診断時≧30歳,糖尿病性ケトアシドーシスの既往なし,診断後6ヵ月以内にインスリン投与の必要なし。アルブミン/クレアチニン比(ACR)>300mg/gCrまたは24時間尿中蛋白>500mg,血清クレアチニン値>1.5(女性または体重<60kgの男性では1.3)~3.0mg/dL,HbA1c値<12%。
除外基準:1型糖尿病。非糖尿病性腎疾患。
●方法 患者を,losartan群(751例)とプラセボ群(762例)にランダム化。全例に従来の降圧療法(ACE阻害薬およびAII受容体拮抗薬を除く)を実施。
アルブミン尿(初回尿のACR)をベースライン時およびその後3ヵ月ごとに測定。腎エンドポイントおよびESRDの発生を追跡。
●結果 ベースライン時のリスク因子(年齢,性別,人種,体重,喫煙,座位DBP,座位SBP,総コレステロール値,血清クレアチニン値,アルブミン尿,ヘモグロビン値,HbA1c値)のなかで,アルブミン尿は腎エンドポイントおよびESRDの最も強力な予測因子であった(いずれもp<0.0001)。ベースライン時のアルブミン尿は腎エンドポイントおよびESRDのリスクとほぼ線形関係を示し,他のリスク因子を補正後,ベースライン時のアルブミン尿が高値の例(≧3.0g/gCr)では,低値例(<1.5g/gCr)に比して,腎エンドポイントリスクが5.2倍(95%CI 4.3~6.3),ESRDリスクが8.1倍(95%CI 6.1~10.8)に増大していた(いずれもp<0.0001)。
治療後6ヵ月間のアルブミン尿は,losartan群で28%減少(95%CI -25~-36%)したのに対し,プラセボ群では4%増加(95%CI 8~-1%)した。この変化は長期的な腎保護効果とほぼ線形関係を示し,ベースライン時のリスク因子および他のパラメータの6ヵ月間の変化を補正後,アルブミン尿の減少度が≧30%の例では0%の例に比して,腎エンドポイントリスクが54%,ESRDリスクが63%低下していた(いずれもp<0.0001)。また治療後6ヵ月間のアルブミン尿の50%の減少により,腎エンドポイントリスクは36%,ESRDリスクは45%低下した。
6ヵ月時のアルブミン尿(残余アルブミン尿)は,腎エンドポイントおよびESRDのリスクと線形関係を示し,これはベースライン時のアルブミン尿と腎リスクの関係と同様であった。アルブミン尿の減少がlosartan治療による腎保護効果に及ぼす影響を検討するため,残余アルブミン尿を補正すると,losartanの腎エンドポイントリスク低減効果はほぼ消失し(16.1→1.7%),ESRDリスク低減効果も半減した(28.6→14.1%)。このことから,アルブミン尿の減少は腎保護効果に関する強力な予測因子であり,losartanの降圧を超えた腎保護効果の大部分は,抗アルブミン尿効果によるものと考えられる。
●結論 従来治療を受けている腎症を伴う2型糖尿病患者において,アルブミン尿は腎リスクの優れた指標であり,アルブミン尿が高値であるほど腎リスクも増大していた。アルブミン尿の減少は腎保護効果と相関し,減少度が大きいほど腎保護効果も大きかった。治療6ヵ月時の残余アルブミン尿は,ベースライン時のアルブミン尿と同様,腎リスクの強力な指標であった。losartanの降圧を超えた腎保護効果の大部分は,抗蛋白尿効果によるものであった。以上のことから,腎症を伴う2型糖尿病患者において,アルブミン尿は治療目標であると同時に,腎機能低下リスクの指標であると考える必要がある。残余アルブミン尿をできる限り減少させることが,今後の腎保護治療における目標となる。