編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sattar N, Gaw A, Scherbakova O, Ford I, O'Reilly DS, Haffner SM, Isles C, Macfarlane PW, Packard CJ, Cobbe SM, et al: Metabolic syndrome with and without C-reactive protein as a predictor of coronary heart disease and diabetes in the West of Scotland Coronary Prevention Study. Circulation 2003; 108: 414-419. [PubMed]

わが国でもメタボリックシンドロームの診断基準が発表され,注目を集めている。WOSCOPSでは,成人男性の26.2%がメタボリックシンドロームを有しており,メタボリックシンドロームの存在がCHD発症や新規糖尿病発症の予測因子となることは,臨床面で重要な事実である。また,メタボリックシンドロームの有無にかかわらず,スタチン系薬剤はCHDリスクを低下させており,メタボリックシンドロームを有する高コレステロール血症患者においてはスタチン系薬剤による治療も重要である。【片山茂裕

●目的 修正版NCEP基準によるメタボリックシンドロームが,冠動脈心疾患(CHD)発症および新規糖尿病発症を予測しうるかを評価した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照。
●試験期間 追跡期間は平均4.9年。
●対象患者 6595例:心筋梗塞既往のない中等度の高コレステロール血症男性。LDL-C値174~232mg/dL。トリグリセリド(TG)値<530mg/dL。
●方法 本解析は,患者をHMG-CoA還元酵素阻害薬pravastatin 40mg/日群およびプラセボ群にランダム化したWOSCOPSのデータを対象に実施した。
・修正版NCEP基準(ウェスト周に代わりBMIを使用)を用いて,以下の3項目以上を満たす場合をメタボリックシンドロームとした:TG値≧150mg/dL;HDL-C値<40mg/dL;空腹時血糖(FPG)値≧110mg/dL;SBP≧130mmHgまたはDBP≧85mmHgまたは降圧薬の服用;BMI>28.8kg/m²。
・ベースライン時に糖尿病を認めない6447例をCHD発症リスクの解析対象とし,またランダム化後にFPG値を2回以上測定された5974例を糖尿病発症リスクの解析対象として,メタボリックシンドロームとCHD発症および新規糖尿病発症の関係を検討した。
●結果 1691例(26.2%)がベースライン時にメタボリックシンドロームを有していた。メタボリックシンドローム例では,平均LDL-C値は非メタボリックシンドローム例と同等であったが,平均C反応性蛋白(CRP)値は有意に上昇していた(p<0.0001)。
メタボリックシンドローム例では,CHD発症リスク(univariateハザード比[HR]1.76,95%CI 1.44-2.15)および糖尿病発症リスク(HR 3.51,95%CI 2.47-4.98)が増大した。またCRP値は,CHD発症および糖尿病発症のいずれについても予測能を有意に増強した(p<0.001)。従来のリスク因子(年齢,脂質値,血圧,喫煙)を含んだ多変量解析においても,メタボリックシンドロームはCHD発症リスクの有意な予測因子であった(HR 1.30,95%CI 1.00-1.67,p=0.045)。
CHDおよび糖尿病の発症リスクは代謝異常の数とともに増大し,基準の4項目以上に該当する症例では,まったく該当しない症例に比して,CHD発症リスクは3.65倍,糖尿病発症リスクは24.4倍に増大した(いずれもp<0.0001)。
pravastatin群のプラセボ群に対するCHD発症の相対リスクは,メタボリックシンドローム例0.73,非メタボリックシンドローム例0.69であり,pravastatin治療によるリスク低下度は両例で同等であった。
●結論 修正版NCEP基準によるメタボリックシンドロームはCHD発症の予測能を有し,新規糖尿病発症については予測能がさらに高かった。したがって本基準は,生活習慣の改善により得られるCHDおよび糖尿病の予防効果がとくに高い患者の特定に有用であると考えられる。