編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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de Zeeuw D, Remuzzi G, Parving HH, Keane WF, Zhang Z, Shahinfar S: Albuminuria, a therapeutic target for cardiovascular protection in type 2 diabetic patients with nephropathy. Circulation 2004; 110: 921-927. [PubMed]

微量アルブミン尿または蛋白尿が心血管疾患のリスク因子となることは,ようやく認識されつつある。RENAALの結果でもこのことが再確認されたことは重要である。とくに腎イベント発生例でアルブミン尿との相関が強かったことは,心血管疾患を減少させるためには,血圧の低下のみならず,アルブミン尿を減少させることが治療の重要な目標となることを示唆している。【片山茂裕

●目的 腎症を伴う2型糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬losartan投与による短期的なアルブミン尿の減少により,長期的な心保護効果を予測しうるかを検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設(28ヵ国)。
●試験期間 追跡期間は平均3.4年。
●対象患者 1513例:腎症を伴う2型糖尿病患者。
登録基準:尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)>0.3g/gCrまたは24時間尿中蛋白>0.5g,血清クレアチニン値>1.5(女性または体重<60kgの男性では1.3)~3.0mg/dL。
除外基準:過去1ヵ月の心筋梗塞(MI)またはCABG施行,過去6ヵ月の脳血管事故またはPTCA施行,過去1年の一過性虚血発作,心不全の既往。
●方法 本解析はRENAAL(患者をlosartan群およびプラセボ群にランダム化し,全例に従来の降圧薬[ACE阻害薬およびAII受容体拮抗薬を除く]を投与)の事後解析として実施された。
ベースライン時および6ヵ月後にアルブミン尿(ACR)を測定。心血管エンドポイント(MI,脳卒中,心不全または不安定狭心症による初回入院,冠動脈または末梢血管の血行再建術,心血管死の複合イベント),心不全,腎エンドポイント(血清クレアチニン値上昇[2倍],終末期腎不全,死亡の複合イベント)の発生を追跡。それらのリスクを,ベースライン時のアルブミン尿(低値[<1.5g/gCr],中等値[1.5~3.0g/gCr],高値[≧3.0g/gCr]に分類)および6ヵ月後までのアルブミン尿の変化により比較。
●結果 ベースライン時のすべてのリスク因子を含めた多変量解析では,アルブミン尿は心血管エンドポイントおよび心不全の最も強力な予測因子であった(いずれもp<0.001)。ベースライン時のアルブミン尿が高値の例では低値例に比して,心血管エンドポイントリスクが1.92倍(95%CI 1.54-2.38,p<0.001),心不全リスクが2.70倍(95%CI 1.94-3.75,p<0.001)に増大していた。
6ヵ月後までのリスク因子の変化を含めた多変量解析でも,ベースライン時のアルブミン尿は心血管エンドポイントおよび心不全の最も強力な予測因子であった(いずれもp<0.001)。さらに,6ヵ月後までのアルブミン尿の減少も同様の予測因子であることが示され(いずれもp<0.001),アルブミン尿の50%の減少により,心血管エンドポイントリスクは18%低下,心不全リスクは27%低下した。
次に,心血管エンドポイントのみを発生した例(心血管例)および腎エンドポイントのみを発生した例(腎例)を対象に,それらのエンドポイント発生率をベースライン時のアルブミン尿に基づいて比較した。すると,腎例ではアルブミン尿と腎エンドポイント発生が明らかに相関していたが,心血管例ではアルブミン尿と心血管エンドポイントの相関は認められなかった。このことから,ベースライン時のアルブミン尿と心血管エンドポイントの相関は,腎エンドポイントを発生した患者でのみ認められることが示唆された。
●結論 腎症を伴う2型糖尿病患者において,アルブミン尿は心血管リスクを予測する重要な因子であった。これらの患者では,6ヵ月後までのアルブミン尿の減少により,心血管保護効果が得られると考えられる。