編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Tesfaye S, Chaturvedi N, Eaton SE, Ward JD, Manes C, Ionescu-Tirgoviste C, Tesfaye S, Tesfaye S, EURODIAB Prospective Complications Study Group: Vascular risk factors and diabetic neuropathy. N Engl J Med 2005; 352: 341-350. [PubMed]

1型糖尿病患者で以前に報告されたDCCTでは,5年間の神経障害の累積発生率は15~21%と報告され,厳格な血糖管理により60%のリスク低下が得られたことも報告されている。
本研究でも,ほぼ同等の累積発生率が示された。また,糖尿病罹病期間や追跡期間の血糖コントロールが重要であることも確認された。そして重要なことは,心血管疾患のリスク因子といわれているLDL-C,トリグリセリド,肥満,喫煙,高血圧などが,神経障害のリスク因子となることが明確に示されたことである。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,末梢(対称性)神経障害発症のリスク因子を検討した。
●デザイン 疫学,多施設。
●試験期間 追跡期間は平均7.3±0.6年。
●対象患者 1172例:EURODIAB登録患者(1型糖尿病患者3250例,平均32.7±10.2歳,平均罹病期間14.7±9.3年)のうち,ベースライン時に神経障害を認めず,追跡時に神経障害に関するデータの得られた例。
●方法 ベースライン時に血清脂質値およびリポ蛋白値,HbA1c値,尿中アルブミン排泄率を測定するとともに,その他の臨床因子を評価。神経障害の有無をベースライン時(1989~1991年)および追跡時(1997~1999年)に評価。ロジスティック回帰モデルを用いて,神経障害の累積発生率と有意な相関を示すリスク因子を検討。
●結果 276例が追跡期間に神経障害を発症し,累積発生率は23.5%であった。
神経障害発症の重要な決定因子であるHbA1c値および糖尿病罹病期間を補正後,神経障害の累積発生率と有意な相関を示した因子は,心血管リスク因子(総コレステロール値[オッズ比1.26,p=0.001],LDL-C値[1.22,p=0.02],トリグリセリド値[1.35,p<0.001],BMI[1.40,p<0.001]),von Willebrand因子(1.20,p=0.03),尿中アルブミン排泄率(1.25,p=0.001),高血圧(1.92,p<0.001),喫煙歴(1.55,p<0.001)であった。さらに,追跡期間のHbA1c値の変化(1.45,p<0.001)も有意に相関していた。
その他のリスク因子および糖尿病性合併症を補正後も,糖尿病罹病期間(オッズ比1.25,p=0.02),HbA1c値(1.64,p<0.001),追跡期間のHbA1c値の変化(1.44,p=0.001),BMI(1.20,p=0.04),喫煙歴(1.68,p=0.003)は神経障害の累積発生率と有意に相関していた。また,ベースライン時の心血管疾患(2.12,p=0.01)は,心血管リスク因子の有無にかかわらず神経障害のリスクを倍増させた。
●結論 1型糖尿病患者における末梢(対称性)神経障害発症は,血糖コントロールのほかにも,修正可能な心血管リスク因子(トリグリセリド高値,BMI,喫煙歴,高血圧)に相関していることが示された。