編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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D'Agostino RB, Hamman RF, Karter AJ, Mykkanen L, Wagenknecht LE, Haffner SM, Insulin Resistance Atherosclerosis Study Investigators: Cardiovascular disease risk factors predict the development of type 2 diabetes: the insulin resistance atherosclerosis study. Diabetes Care 2004; 27: 2234-2240. [PubMed]

IGTが糖尿病発症の高リスク群であることは,よく知られている。IGTと正常例を対象とした今回のIRASの検討は,心血管疾患のリスク因子が集積するほど糖尿病の発症が増加することを示し,リスク因子が1つ増えると約2.1倍になることを示している。最近注目されているメタボリックシンドロームの観点からも重要な知見である。
とくに今回取り上げられたPAI-1高値,高血圧,高TG値,低HDL-C値,IGTのうち4つ以上を認める群は,糖尿病発症率が45~50%/5年となり,今後これらの者を特定した強力な介入が効率的といえる。【片山茂裕

●目的 心血管疾患(CVD)のリスク因子が2型糖尿病発症に関する予測因子となるかを検討した。
●デザイン 疫学,多施設。
●試験期間 追跡期間は5年。
●対象患者 872例:IRASの参加者のうち,CVDのリスク因子に関するデータが得られた例。耐糖能異常(IGT)例580例,正常例292例。
●方法 75g OGTTを実施し,2型糖尿病の新規発症を追跡。CVDのリスク因子と2型糖尿病の新規発症との関係を評価。
●結果 追跡期間中に143例(16%)が2型糖尿病を発症した。2型糖尿病発症の有意なリスク因子は,プラスミノーゲン活性化抑制因子-1高値,高血圧,高トリグリセリド値,低HDL-C値, IGTであった。
2型糖尿病の5年累積発症率は,リスク因子数の増加とともに有意に上昇し,リスク因子なし5%(11/230例),1個11%(31/278例),2個18%(36/202例),3個37%(41/110例),4個45%(19/42例),5個50%(5/10例)であった(p<0.001)。
年齢,性別,民族,施設について補正したロジスティック回帰分析を行ったところ,リスク因子1個の増加に伴う2型糖尿病発症のオッズ比(OR)は2.1(95%CI 1.78-2.46)であった。さらにインスリン抵抗性および腹囲を補正後も,リスク因子1個の増加による2型糖尿病発症リスクの増大は有意であった(OR 1.81,95%CI 1.49-2.20)。
●結論 複数のCVDリスク因子は2型糖尿病の発症リスクを増大させるが,インスリン抵抗性および腹部肥満はその一部にしか関与していないことが示された。このことは,リスク因子の評価により糖尿病発症の高リスク例を特定する際に有用であると考えられる。