編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Colhoun HM, Betteridge DJ, Durrington PN, Hitman GA, Neil HA, Livingstone SJ, Thomason MJ, Mackness MI, Charlton-Menys V, Fuller JH, et al: Primary prevention of cardiovascular disease with atorvastatin in type 2 diabetes in the Collaborative Atorvastatin Diabetes Study (CARDS): multicentre randomised placebo-controlled trial. Lancet 2004; 364: 685-696. [PubMed]

平均総コレステロール値207mg/dL,平均LDL-C値118mg/dLの「正コレステロール血症」の2型糖尿病患者において,常用量であるatorvastatin 10mg/日を用いて積極的脂質低下療法を行うと,心血管疾患発症の一次予防に有効であるという研究である。結論には,いかなる2型糖尿病患者でも脂質低下が必要であるのか否かを考える際には,介入不必要な群を同定することがもはや必要であるとさえ述べられている。いよいよ,日常診療で2型糖尿病患者の高コレステロール血症を看過してはならないことが明らかとなってきた。【河盛隆造

●目的 LDL-C高値を認めない2型糖尿病患者において,重度の心血管イベントの一次予防におけるHMG-CoA還元酵素阻害薬atorvastatin 10mg/日の有効性を検討した。
一次エンドポイントは重度の心血管イベント(急性冠動脈心疾患イベント[心筋梗塞,不安定狭心症,急性冠動脈心疾患死,心停止後の蘇生],冠動脈再建術,脳卒中)の初回発生。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設(英国,アイルランド),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は3.9年(中央値)。
●対象患者 2838例:心血管疾患の既往を持たない2型糖尿病患者。40~75歳。
登録基準:診断時から6ヵ月以上が経過。血清LDL-C値≦4.14mmol/L。血清トリグリセリド値≦6.78mmol/L。高血圧の既往,網膜症,アルブミン尿,喫煙習慣のいずれかを有する。
除外基準:心筋梗塞,狭心症,冠動脈手術,脳血管事故,重度の末梢血管疾患の既往。血漿クレアチニン値>150μmol/L。HbA1c値>12%。
●方法 患者をatorvastatin(10mg/日)群(1428例)およびプラセボ群(1410例)にランダム化。重度の心血管イベントの初回発生を追跡。
●結果 atorvastatinの有効性が有意に認められたため,本試験は当初の予定より2年早く中止された。
1件以上の重度の心血管イベント発生は,atorvastatin群(83例[5.8%])でプラセボ群(127例[9.0%])に比して37%減少した(95%CI -52~-17%,p=0.001)。重度の心血管イベントの発生率は,atorvastatin群15.4/1000人・年,プラセボ群24.6/1000人・年であったことから,患者1000例に対してatorvastatin 10mg/日を4年投与した場合,重度の心血管イベントの初回発生を37件予防できることが示された。
個々のイベントについてみると,atorvastatin群ではプラセボ群に比し,急性冠動脈心疾患イベントは36%減少(95%CI -55~-9%),冠動脈血行再建術は31%減少(95%CI -59~16%),脳卒中は48%減少した(95%CI -69~-11%)。さらに,全死亡は27%低下した(95%CI -48~1%,p=0.059)。
ベースライン時の血清脂質値によるatorvastatinの効果の相違は認められなかった。有害事象の発生率は両群で同等で,atorvastatin投与による増加は認められなかった。
●結論 LDL-C高値を認めない2型糖尿病患者において,atorvastatin 10mg/日投与は安全であり,脳卒中を含む心血管イベントの初回発生リスクを低下させた。2型糖尿病患者におけるスタチン投与の必要性を示すLDL-Cの閾値は認められなかった。すべての2型糖尿病患者がスタチン治療を受けるべきであるのかという議論は今後,いかなる患者がスタチン治療を要さないほど低リスクであると考えてよいのか否かに焦点を置くべきである。