編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2020年9月現在,1240報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Logroscino G, Kang JH, Grodstein F: Prospective study of type 2 diabetes and cognitive decline in women aged 70-81 years. BMJ 2004; 328: 548-551. [PubMed]

糖尿病と認知機能との関連を検討した報告はいくつかあるが,女性での検討は少ない。本検討では,糖尿病は,特に罹病期間が長くなると認知機能の低下に関与することが明らかにされた。また,未治療の糖尿病ではそのリスクが増加し,経口血糖降下薬の使用はそのリスクを軽減していることは,臨床的に重要な知見である。一方,インスリン治療を受けている糖尿病では,そのリスクがやや高かった。インスリンを分解する酵素は脳内のアミロイドβ蛋白を増加させることなども知られており,今後の検討が必要である。【片山茂裕

●目的 女性において,2型糖尿病と認知機能低下の関係を検討し,それに対する糖尿病治療薬の影響を検討した。
●デザイン 疫学。
●試験期間 試験期間は1995~2003年。追跡期間は2年。
●対象患者 18999例:NHSの登録患者(米国の女性看護師)のうち,1995~2001年時点に≧70歳で,脳卒中を発症しておらず,認知機能に関する電話インタビューを完了した例。70~81歳。
除外基準:1型糖尿病,妊娠糖尿病,確定診断がなされていない糖尿病。
●方法 ベースライン時および2年後に認知機能に関する6つのテスト(認知状態に関する電話インタビュー[TICS],即時再生および遅延再生に関するEast Boston記憶テスト,語彙流暢性テスト,10単語による遅延再生テスト,数字逆読みテスト)を実施。各テストのスコアを平均して総スコアとした。ベースライン時に糖尿病を有していた症例については,罹病期間および薬剤の種類を調査した。
●結果 2年後のテストを完了した症例のうち,ベースライン時から2年後までの新規発症糖尿病例を除外した解析可能症例は16596例であった。
補正後のベースライン時の各テストのスコアは,いずれも糖尿病例で非糖尿病例に比して不良であり,TICSおよび総スコアについて解析したところ,ベースライン時のスコア不良(分布の下位10%)のオッズは糖尿病例で25~35%上昇していた(TICS:オッズ比[OR]1.34,95%CI 1.14-1.57,総スコア:OR 1.26,95%CI 1.06-1.51)。特に罹病期間が長い糖尿病例(≧15年)では,非糖尿病例に比してスコア不良のオッズが約50%上昇していた(TICS:OR 1.52,95%CI 1.15-1.99,総スコア:OR 1.49,95%CI 1.11-2.00)。薬剤の種類別に検討すると,経口血糖降下薬投与下の糖尿病例では,スコア不良のオッズは非糖尿病例と同等であったが(TICS:OR 1.06,95%CI 0.81-1.37,総スコア:OR 0.99,95%CI 0.74-1.33),いずれの薬剤も投与されていない症例では最も上昇していた(TICS:OR 1.71,95%CI 1.28-2.28,総スコア:OR 1.45,95%CI 1.04-2.02)。インスリン投与下の糖尿病例でも,スコア不良のオッズはやや上昇していた(TICS:OR 1.20,95%CI 0.85-1.70,総スコア:OR 1.38,95%CI 0.97-1.95)。
実質的なスコア不良(ベースライン時から2年後までのスコアの変化が分布の下位10%)のオッズも,糖尿病例で非糖尿病例に比して上昇しており,糖尿病の罹病期間および薬剤の種類との関係も,ベースライン時のスコアの検討と同様の結果が得られた。
●結論 2型糖尿病を有する女性では認知機能不良のオッズが上昇しており,認知機能の実質的な低下が認められた。経口血糖降下薬の使用は,それらのリスクを低減した。