編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Chan JC, Wat NM, So WY, Lam KS, Chua CT, Wong KS, Morad Z, Dickson TZ, Hille D, Zhang Z, et al.: Renin angiotensin aldosterone system blockade and renal disease in patients with type 2 diabetes: an Asian perspective from the RENAAL study. Diabetes Care 2004; 27: 874-879. [PubMed]

本報告は,AII受容体拮抗薬の糖尿病性腎症における腎保護作用を示した最初の研究であるRENAALのサブ解析である。対象患者は,試験全体では1513例で白人が約50%であるが,アジア人においてもlosartanは糖尿病性腎症に有効であることが示された。2型糖尿病は民族差のある代表的疾患であるが,腎症におけるAII受容体拮抗薬の有効性に関しては民族差がないことが示された。【景山 茂

●目的 腎症を伴うアジア人2型糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬losartanの腎および心血管アウトカムに対する有効性および忍容性を検討し,腎エンドポイントの予測因子を検討した。
一次複合エンドポイントは血清クレアチニン値上昇(2倍),終末期腎不全,全死亡。二次複合エンドポイントは心血管死,心不全,心筋梗塞,血行再建術,不安定狭心症,脳卒中。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検, intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均3.2年。
●対象患者 252例:RENAALの登録患者(腎症を伴う2型糖尿病患者1513例,31~70歳)のうちアジア人。うち日本人96例,その他は主に中国人。
登録基準:尿中アルブミン・クレアチニン比≧300mg/gCrまたは尿中蛋白排泄≧0.5g/日,血清クレアチニン値115~265μmol/L。
●方法 本解析はRENAAL(患者をlosartan 50~100mg/日群およびプラセボ群にランダム化し,降圧目標[140/90mmHg]に達しない場合,全例に従来の降圧薬[利尿薬,Ca拮抗薬,β遮断薬,α遮断薬など]を投与)のサブグループ解析として実施された。
対象患者(losartan群[117例]およびプラセボ群[135例])について,患者背景,エンドポイントの発生率を比較するとともに,Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析で腎エンドポイントの予測因子を検討した。
●結果 losartan群では腎アウトカム(一次複合エンドポイント)が35%減少した(p=0.02)。一方,心血管アウトカム(二次複合エンドポイント)については,両群間に差は認められなかった。また,losartan群では蛋白尿レベルが47%低下し(p<0.001),腎機能の低下度を31%改善した(p=0.0074)。投与中止率はlosartan群でプラセボ群に比して低く(28 vs 43%),losartan投与による咳の増加はみられなかった(22.2 vs 20.0%)。
腎複合エンドポイント(血清クレアチニン値上昇または終末期腎不全)リスクの最も強力な予測因子は,蛋白尿(ハザード比1.42,p<0.0001)およびHb低値(ハザード比0.81,p<0.0001)であった。
●結論 腎症を伴うアジア人2型糖尿病患者において,losartanは有意な腎保護効果を有し,忍容性も良好であることが示された。ベースライン時の蛋白尿およびHb低値は腎アウトカムリスクの強力な予測因子であった。