編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Carnethon MR, Jacobs DR, Sidney S, Liu K, CARDIA study: Influence of autonomic nervous system dysfunction on the development of type 2 diabetes: the CARDIA study. Diabetes Care 2003; 26: 3035-3041. [PubMed]

自律神経障害が糖尿病発症のリスクとなることは,すでにARICで報告されている。本試験では,HRRが遅い,すなわち自律神経障害(特に迷走神経活性の低下)がある者では,空腹時インスリン濃度が高値であった。また運動不足が加わると,この群では中年になってからの糖尿病発症率が3.4倍となった。膵臓には豊富に自律神経が存在しており,迷走神経は通常,ブドウ糖刺激に対するインスリン分泌を高めることを考え合わせると,本試験の成績は興味深いといえる。【片山茂裕

●目的 自律神経障害が,インスリン値および血糖値の上昇と2型糖尿病発症に関与しているか否かを検討した。
●デザイン 縦断研究,コホート。
●試験期間 追跡期間は15年。登録期間は1985~1986年。
●対象患者 3295例:CARDIAの登録患者(18~30歳の黒人および白人男女5115例)のうち,ベースライン時に糖尿病または空腹時血糖異常を認めなかった例。
●方法 トレッドミル試験を実施し,運動中および運動後の心拍数を測定。最大心拍数と運動終了2分後の心拍数の差異を心拍回復(HRR)とし,HRRに基づいて対象を4群に分類した(HRRが遅い場合は自律神経障害が示唆される)。
ベースライン時,7年後,10年後,15年後に空腹時インスリン値および空腹時血糖(FPG)値を測定するとともに,糖尿病の発症(FPG値≧126mg/dLまたは糖尿病治療薬の使用)を追跡し,それらとHRRの関係を検討した。
●結果 追跡期間中に98例が糖尿病を発症した。
糖尿病を発症しなかった症例では,試験期間を通じて空腹時インスリン値が上昇していた。年齢,人種,性別,喫煙習慣,BMIについて補正すると,HRRが最も遅い群(下位1/4群)では,HRRがより速い群に比して,いずれの時点においても空腹時インスリン値が高かった(15年後:下位1/4群88.1 vs. 上位1/4群81.3pmol/l,p=0.05)。FPG値に関しては,いずれの時点においてもHRRによる差はなかった。
運動をあまりしない群では,HRR<42bpmの症例における糖尿病発症リスクは,HRR>42bpmの症例に比して3.4倍(95%CI 1.5~8.0)に増大しており,これはベースライン時のインスリン値を補正後も同様であった。
●結論 自律神経障害は,運動不足とともに,早期の糖代謝異常および2型糖尿病の発症に関与していると考えられる。