編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Palmieri V, Tracy RP, Roman MJ, Liu JE, Best LG, Bella JN, Robbins DC, Howard BV, Devereux RB, Strong Heart Study: Relation of left ventricular hypertrophy to inflammation and albuminuria in adults with type 2 diabetes: the strong heart study. Diabetes Care 2003; 26: 2764-2769. [PubMed]

細小血管障害である微量アルブミン尿が出現すると,LVHと炎症性変化の関連は,BMIなどの影響もあり減弱するが,アルブミン尿が出現する前の病期では,LVHと炎症性変化が有意に関連していた。従来のリスク因子に加えて,炎症性マーカーの臨床的意義を確立していく必要がある。【片山茂裕

●目的 成人の2型糖尿病において,左室肥大(LVH)と炎症性マーカー(フィブリノーゲン,高感度C反応性蛋白[hsCRP])の関係を評価するとともに,それらの関係に対するアルブミン尿の影響を検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 登録期間は1989~1992年。
●対象患者 1299例:Strong Heart Studyの登録患者のうち,2型糖尿病患者。
登録基準:米国Arizona州,Oklahoma州,South Dakota州,North Dakota州在住のアメリカインディアン。
除外基準:冠動脈心疾患の既往または心電図所見。透析を要する腎不全。
●方法 心エコー法によりLVHを評価。
LVH,炎症性マーカー(フィブリノーゲン,hsCRP),アルブミン尿の関係を検討した。
●結果 384例(29.6%)にLVHを認めた。
単変量解析では,LVH例では正常例に比してBMI,hsCRP,フィブリノーゲン,尿中アルブミン・クレアチニン比(ACR)が高かった。多変量解析で主要な交絡因子を補正したところ,LVH例では正常例に比してフィブリノーゲンおよび尿中ACRが有意に高く(いずれもp<0.01),一方,hsCRPは有意差を認めなかったが,これは主としてBMIの交絡効果によるものであった。また,アルブミン尿を交絡因子として補正すると,フィブリノーゲンおよびhsCRPに関する有意差は消失した。アルブミン尿が病的レベルに達していない(尿中ACR<30mg/g)症例のサブグループ解析では,LVH例で正常例に比してフィブリノーゲンおよびhsCRPが高かったが,これはBMIとは独立していなかった。
フィブリノーゲンはhsCRPの対数と中程度の相関を示し,ACRの対数とも独立した中等度の相関を示したが,hsCRPの対数とACRの対数の間に有意な相関は認めなかった。
●結論 成人の2型糖尿病患者において,心エコーにおけるLVH所見は,アテローム性血栓症に対する感受性およびアルブミン尿と相関していた。アルブミン尿は細小血管障害および内皮障害のマーカーであることから,LVHと炎症の関連性が示されたといえる。しかし,微量アルブミン尿を認めない場合,BMI高値はLVHと炎症性マーカー高値との関係における病源因子であり,アルブミン尿の発現に先行する可能性がある。細小血管障害を認める場合,LVHと相関を有するアテローム性血栓症のリスクプロファイルはBMIとは独立し,LVHとより重度の内皮障害との相関を反映していると思われる。