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Bakris GL, Weir MR, Shanifar S, Zhang Z, Douglas J, van Dijk DJ, Brenner BM, RENAAL Study Group: Effects of blood pressure level on progression of diabetic nephropathy: results from the RENAAL study. Arch Intern Med 2003; 163: 1555-1565. [PubMed]
蛋白尿を伴う高血圧の2型糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬が血清クレアチニン値2倍上昇,ESRD,死亡を16%減少させることが,先のRENAAL試験で報告されている。今回の解析では,SBPとPPの増大がESRDのリスクになることが示された。
目標血圧の<140/90mmHgを達成するために,losartanあるいはプラセボに加えて平均3.5剤が投与されているが,目標血圧を達成したのは,losartan群では47.3%であったことには注意を要する。【片山茂裕】
●目的 | 糖尿病性腎症に対する血圧の影響を検討した。 一次エンドポイントは,血清クレアチニン値上昇(2倍),末期腎不全(ESRD),死亡の複合エンドポイント。 |
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●デザイン | 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設。 |
●試験期間 | 追跡期間は平均3.4年。 |
●対象患者 | 1513例:腎症および高血圧を認める2型糖尿病患者。 |
●方法 | 6週のスクリーニング期間中,高血圧患者は標準の降圧治療を続けた(ACE阻害薬あるいはAII受容体拮抗薬を服用していた場合は中止し,その他の降圧薬を投与)。 患者を蛋白尿レベル(尿中アルブミン/クレアチニン比[ACR])で層別化し,AII受容体拮抗薬losartan(50~100mg/日)群(751例)とプラセボ群(762例)にランダム化。目標血圧は<140/90mmHgとした。 ・ベースライン時のSBP(<130,130~139,140~159,160~179,≧180mmHg),DBP(<70,70~79,80~89,90~99,≧100mmHg),脈圧(PP:<60,60~69,70~79,80~89,≧90mmHg)に基づいて対象を分類。腎関連アウトカムの発生を追跡し,Coxモデルを用いてSBP,DBP,PPとの関係を検討した。 |
●結果 | エンドポイントリスクは,いずれもベースライン時のSBP上昇とともに増大しており,140~159mmHgの症例では<130mmHgの症例に比して,ESRDまたは死亡のリスクが38%増大していた(p=0.05)。一方,ベースライン時のDBP上昇によるエンドポイントリスクの有意な増大はみられなかった。 ACR,血清クレアチニン値,血清アルブミン値,ヘモグロビン値,HbA1c値を補正した多変量モデルでは,ESRDまたは死亡のリスクは,SBP 10mmHgの上昇に伴い6.7%増大し(p=0.007),DBP 10mmHgの上昇に伴い10.9%低下していた(p=0.01)。またSBP,DBP,PPの10mmHgの上昇がエンドポイントに及ぼす影響を比較したところ,SBPおよびPP はDBPより大きな影響があった。losartan群のPP≧90mmHg症例では,プラセボ群に比してESRDのリスクが53.5%低下し(p=0.003),ESRDまたは死亡のリスクは35.5%低下していた(p=0.02)。 |
●結論 | 腎症を認める2型糖尿病患者では,ベースライン時のSBPはDBPよりも強力な腎関連アウトカムの予後因子であった。ベースライン時のPPが最も高値の患者群では,腎症進展リスクが最も高かったが,SBPが<140mmHgに低下した場合のリスク低下度は最も大きいことが示された。 |
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