編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Hu FB, Li TY, Colditz GA, Willett WC, Manson JE: Television watching and other sedentary behaviors in relation to risk of obesity and type 2 diabetes mellitus in women. JAMA 2003; 289: 1785-1791. [PubMed]

わが国における成人の平均テレビ鑑賞時間も,米国と同様に20数時間と考えられ,年々長時間化していることが明らかになっている。糖尿病,肥満の発生を抑制するためには,運動習慣をつけるように勧めるだけではなく,テレビ鑑賞時間をなるべく短くするといった具体的な指示を盛り込んだ啓蒙活動をすすめていく必要がある。【河盛隆造

●目的 女性において,座位行動(特に長時間のテレビ鑑賞)と肥満および2型糖尿病のリスクの関係を検討した。
主要アウトカムは肥満および2型糖尿病の発生。
●デザイン 前向き,コホート。
●試験期間 試験期間は1992~1998年。追跡期間は6年。
●対象患者 50277例(肥満の解析):NHS の登録患者(米国在住の女性看護師,30~55歳)のうち,ベースライン時にBMI<30kg/m²で,心血管疾患/糖尿病/癌と診断されておらず,身体活動および座位行動に関する調査を完了した例。
68497例(糖尿病の解析):NHSの登録患者のうち,ベースライン時に心血管疾患/糖尿病/癌と診断されていない例。
●方法 ベースライン時に座位および立位での行動時間,歩行時間に関する調査を実施。ベースライン時,1994年,1996年に身体活動および歩行速度に関する調査を実施(本解析ではベースライン時における調査結果のみを使用)。肥満および2型糖尿病の発生を追跡。
●結果 追跡期間中に3757例(7.5%)が肥満(BMI≧30kg/m²)に至り,1515例が2型糖尿病を発症した。肥満および2型糖尿病のリスクは,テレビ鑑賞時間と有意な正相関を示し(p for trend<0.001),一方,自宅での立位行動または歩行は有意な負の相関を示した(p for trend<0.001)。
多変量解析(年齢,喫煙,運動量,食事,その他の共変数を補正)でも,テレビ鑑賞は肥満および2型糖尿病のリスクと最も強い相関を示し,テレビ鑑賞時間の2時間/日の増加は,肥満リスクを23%(95%CI[以下同]17-30%),2型糖尿病リスクを14%(5-23%)上昇させた。また,座位労働またはドライブ時間の2時間/日の増加は,各リスクを5%(0-10%),7%(0-16%)上昇させた。一方,自宅での立位行動または歩行時間の2時間/日の増加は,各リスクを9%(6-12%),12%(7-16%)低下させ,さらに1時間/日の速歩は,各リスクを24%(19-29%),34%(27-41%)低下させた。
より活動的な生活習慣(テレビ鑑賞時間≦10時間/週および≧30分/日の速歩)により,肥満の新規発生を30%(24-36%),2型糖尿病の新規発症を43%(32-52%)予防できると考えられた。
●結論 座位行動(特にテレビ鑑賞)は,肥満および2型糖尿病のリスクを運動量とは独立して有意に上昇させ,一方,軽度~中等度の身体活動でもリスクが有意に低下することが示された。肥満および2型糖尿病の予防には,長時間のテレビ鑑賞およびその他の座位行動を減少することが重要である。