編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Pyorala K, Pedersen TR, Kjekshus J, Faergeman O, Olsson AG, Thorgeirsson G: Cholesterol lowering with simvastatin improves prognosis of diabetic patients with coronary heart disease. A subgroup analysis of the Scandinavian Simvastatin Survival Study (4S) Diabetes Care 1997; 20: 614-620. [PubMed]

心筋梗塞の既往と高コレステロール血症を有する糖尿病患者において,simvastatinが全死亡・冠動脈疾患・動脈硬化イベントを抑制することを示した最初の試験である。そのリスク低下は非糖尿病患者に比べて大きく,糖尿病患者における脂質管理の重要性を示したといえる。ただ本試験はサンプルサイズが小さく,のちにIFGを含めた同様の解析結果が報告されている。【片山茂裕

●目的 冠動脈心疾患(CHD)を有する糖尿病患者において,HMG-CoA還元酵素阻害薬simvastatinによる脂質低下療法の予後改善効果と,CHDイベントおよび動脈硬化イベントに対する効果を検討した。
一次エンドポイントは全死亡。二次エンドポイントは主要なCHDイベント(CHD死または非致死性心筋梗塞[MI])。三次エンドポイントはすべてのCHDイベント,すべての動脈硬化イベント,心筋血行再建術。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設(アイスランド,デンマーク,ノルウェー,フィンランド,スウェーデン)。
●試験期間 登録期間は1988~1989年。追跡期間は5.4年(中央値)。
●対象患者 4444例:4Sの対象患者(35~70歳,MIまたは狭心症の既往,血清総コレステロール[TC]値212~309mg/dL,血清トリグリセリド[TG]値≦220mg/dL)。糖尿病202例,非糖尿病4242例。
除外基準:過去6ヵ月のMI。抗不整脈治療。Digitalis,利尿薬,血管拡張薬を要するうっ血性心不全。持続性心房細動。血行動態的に重大な弁膜性心疾患。不安定狭心症。冠動脈術または血管形成術の予定。脳卒中の既往。肝機能障害。その他の重篤な疾患または状態。
●方法 患者を,simvastatin群(2221例)とプラセボ群(2223例)にランダム化。
・simvastatin群:20mg/日から投与し,6または18週後に目標血清TC値116~201mg/dLに達しない場合は40mg/日まで漸増。
・事後サブグループ解析として,糖尿病例(simvastatin群105例,プラセボ群97例)におけるsimvastatinのイベント抑制効果を評価し,非糖尿病例(simvastatin群2116例,プラセボ群2126例)と比較した。
●結果 simvastatin投与による血清脂質値の変化は,糖尿病例と非糖尿病例で同等であった。糖尿病例におけるエンドポイント発生の相対リスク(simvastatin群 vs. プラセボ群)は,全死亡0.57(95%CI 0.30-1.08;p=0.087),主要なCHDイベント0.45(95%CI 0.27-0.74;p=0.002),すべての動脈硬化イベント0.63(95%CI 0.43-0.92;p=0.018)と,いずれのリスクもsimvastatin投与により低下した。非糖尿病例ではそれぞれ0.71(95%CI 0.58-0.87;p=0.001),0.68(95%CI 0.60-0.77;p<0.0001),0.74(95%CI 0.68-0.82;p<0.0001)で,糖尿病例でリスク低下の程度がより大きかった。
●結論 simvastatinによる脂質低下療法は,CHDを有する糖尿病患者の予後を改善することが示された。糖尿病患者ではCHDイベント再発および動脈硬化イベントのリスクが高く,脂質低下療法による絶対的有用性は非糖尿病患者に比してより大きいと考えられた。