編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Schalkwijk CG, Chaturvedi N, Twaafhoven H, van Hinsbergh VW, Stehouwer CD, EUCLID Study Group: Amadori-albumin correlates with microvascular complications and precedes nephropathy in type 1 diabetic patients. Eur J Clin Invest 2002; 32: 500-506. [PubMed]

最近,糖尿病患者の血管病変においても,高感度CRPなどの炎症マーカーとの関連が指摘されている。1型糖尿病患者においては,少なくとも腎症や網膜症でみる限り,炎症の関与よりはグリコアルブミンなどの高血糖の関与が強いことが示された。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,グリコアルブミン値と早期腎症および網膜症の関係,それらの関係における慢性の軽度炎症の関与を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,パラレル,多施設。
●試験期間 追跡期間は2年。
●対象患者 447例:EUCLID の登録患者(20~59歳の1型糖尿病患者530例)のうち,グリコアルブミン値のデータが得られた例。平均33.8歳。
●方法 ACE阻害薬lisinopril群とプラセボ群にランダム化。
・グリコアルブミン値,炎症マーカーレベル(C反応性蛋白[CRP]値,フィブリノーゲン値)をベースライン時に測定。
・アルブミン排泄率(AER)をベースライン時および追跡時に測定し,アルブミン尿の進展状況を評価。
・眼底写真をベースライン時(341例)および追跡時(294例)に撮影し,網膜症の発症または進展状況を評価。
●結果 グリコアルブミン値は,ベースライン時におけるAER(p=0.0001 for trend)および網膜症の重症度(p=0.02 for trend),追跡期間における正常アルブミン値から(微量)アルブミン尿への進展(非進展例38.6U/mL-1,進展例44.3U/mL-1:p=0.02)と正相関していたが,追跡期間における網膜症の発症または進展とは相関していなかった。ベースライン時のグリコアルブミン値は,CRP値(p=0.0007)およびフィブリノーゲン値(p=0.0001)と相関しており,CRP値およびフィブリノーゲン値は,AER(それぞれp=0.03,p=0.01)および網膜症の重症度(それぞれp=0.02,p=0.0006)とも相関していた。グリコアルブミン値とAERの相関は,炎症マーカーについて補正後も減弱しなかった。一方,グリコアルブミン値と網膜症の相関は,フィブリノーゲン値について補正後は消失したが,CRP値の補正による影響はほとんどみられなかった。lisinoprilはグリコアルブミン値とAERまたは網膜症の重症度との相関に影響を与えなかった。
●結論 1型糖尿病患者において,グリコアルブミン値は早期腎症および網膜症の状況と相関していた。グリコアルブミン高値はのちのアルブミン尿の進展と相関していたが,網膜症の発症または進展には相関していなかった。慢性の軽度炎症は,1型糖尿病においてグリコアルブミン関連の細小血管合併症に関与しないと考えられた。