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Younis N, Broadbent DM, Vora JP, Harding SP, Liverpool Diabetic Eye Study: Incidence of sight-threatening retinopathy in patients with type 2 diabetes in the Liverpool Diabetic Eye Study: a cohort study. Lancet 2003; 361: 195-200. [PubMed]
糖尿病網膜症の進展率を4770例で3.5年追跡した重要な試験である。糖尿病罹病期間の長い例やインスリン治療を受けている例ほど,またベースライン時の網膜症が進展しているほど,糖尿病網膜症が悪化することが示された。また,単純網膜症例では1年ごとに,軽度の前増殖網膜症例では3~4ヵ月ごとに眼底検査をすべきとの結論は,今後の臨床に生かしていくべきであろう。【片山茂裕】
●目的 | 2型糖尿病患者において,網膜症の発症率を調査し,網膜症重症度に応じた適切なスクリーニング実施間隔を検討した。 |
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●デザイン | 疫学,多施設。 |
●試験期間 | 追跡期間は3.5年(中央値)。 |
●対象患者 | 4770例:眼科以外に通院し,網膜症に関するデータ(ベースライン時および追跡時1回以上)が得られた2型糖尿病患者。 |
●方法 | スクリーニング時に,散瞳薬を用いた非立体3方向眼底写真を撮影し,Wisconsinアルゴリズム修正版を用いて網膜症のグレード分類を行った。非網膜症例および単純網膜症例は1年ごと,軽度の前増殖網膜症例は6ヵ月ごとにスクリーニングを実施し,視力に影響を及ぼす糖尿病網膜症(単眼または両眼における中等度以上の前増殖網膜症あるいは臨床的に重篤な黄斑症)の発症を追跡した。 |
●結果 | スクリーニングは延べ20570回実施された。 ベースライン時の非網膜症例の検討では,視力に影響を及ぼす糖尿病網膜症の年間発症率は,1年目は0.3%(95%CI[以下同]0.1-0.5)で,5年目には1.8%(1.2-2.5)に上昇しており,5年後の累積発症率は3.9%(2.8-5.0)であった。視力に影響を及ぼす糖尿病網膜症への1年目の進行率は,ベースライン時の網膜症重症度に伴って上昇し,単純網膜症例5.0%(3.5-6.5),軽度の前増殖網膜症例15.0%(10.2-19.8)であった。糖尿病網膜症の発症率は,糖尿病罹病期間が長い例や,インスリン治療を受けている例で高かった。 視力に影響を及ぼす糖尿病網膜症発症を95%の確率で予防するためのスクリーニング実施間隔の平均値は,ベースライン時の網膜症重症度で検討すると,非網膜症例5.4年(4.7-6.3),単純網膜症例1.0年(0.7-1.3),軽度の前増殖網膜症例0.3年(0.2-0.5)であった。 |
●結論 | 網膜症を有さない糖尿病患者においては3年ごとのスクリーニング実施でよいが,網膜症重症度がより高い糖尿病患者では,1年ごとまたはさらに頻回のスクリーニングを実施すべきであることが示された。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1283件のトライアルを収載しています。