編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Gaede P, Vedel P, Larsen N, Jensen GV, Parving HH, Pedersen O: Multifactorial intervention and cardiovascular disease in patients with type 2 diabetes. N Engl J Med 2003; 348: 383-393. [PubMed]

糖尿病患者において,血糖のみならず,血圧・脂質の厳格な管理が,腎症・網膜症・神経障害などの細小血管障害に加えて,大血管障害といわれる脳血管障害,心筋梗塞,閉塞性動脈硬化症などのリスクを約50%減少させることを示した重要な試験である。【片山茂裕

●目的 微量アルブミン尿が認められる2型糖尿病患者において,集中的多因子治療が心血管疾患の修正可能なリスク因子に及ぼす効果を標準療法と比較検討した。
一次エンドポイントは心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,血行再建術,下肢切断の複合イベント。二次エンドポイントは,糖尿病腎症の発現,または糖尿病網膜症および神経障害の発現または進展。
●デザイン 無作為,オープン,パラレル,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均7.8年。登録期間は1992~1993年。2001年12月試験終了。
●対象患者 160例:微量アルブミン尿を認める2型糖尿病患者。平均55.1歳。
●方法 患者を,標準療法群(80例)と強化療法群(80例)にランダム化。
・標準療法群:1988年のデンマーク医師会の勧告(2000年に改訂)に基づいた治療を実施。治療目標は,血圧<160/95mmHg(2000年~[以下同]135/85mmHg),HbA1c<7.5%(6.5%),総コレステロール(TC)<250mg/dL(190mg/dL),トリグリセリド(TG)<195mg/dL(180mg/dL)。虚血性心疾患(IHD)例にはaspirinを投与。
・強化療法群:生活習慣の改善(食事療法,運動療法,禁煙指導)および段階的薬物療法を実施。治療目標は,血圧<140/85mmHg(2000年~[以下同]130/80mmHg),HbA1c<6.5%(6.5%),TC<190mg/dL(175mg/dL),TG<150mg/dL(150mg/dL)。全例にACE阻害薬(captopril 100mg/日相当量)またはAII受容体拮抗薬(losartan 100mg/日相当量),ビタミンC 250mg/日,ビタミンE 100mg/日,葉酸400μg/日,ピコリン酸クロム100μg/日を投与。IHD例にはaspirin 150mg/日を投与(1999年10月~全例に投与)。食事および運動療法を3ヵ月実施後,HbA1c<6.5%を維持できない高血糖例には,metformin(ビグアナイド)≦2g/日(肥満例[BMI>25kg/m²])またはスルホニル尿素gliclazide≦320mg/日(痩せまたはmetformin禁忌例)を投与。無効の場合は両剤併用し,HbA1c≧7.0%例にはNPHインスリンを併用。NPHインスリン≧80IU/日投与例または無効の場合はレギュラーインスリンを併用。高血圧例には,必要に応じてサイアザイド系利尿薬,Ca拮抗薬,β遮断薬を投与。高コレステロール血症例または複合型高脂血症例にはスタチン(atorvastatin≦80mg/日相当量)を投与し,高中性脂肪例にはフィブラート系薬を投与。
●結果 強化療法群(67例)では標準療法群(63例)に比して,HbA1c(p<0.001),SBP(p<0.001),DBP(p=0.006),空腹時血清TC(p<0.001)および血清TG(p=0.015),尿中アルブミン排泄率(p=0.007)の低下の程度が有意に大きかった。また強化療法群では,心血管疾患(ハザード比[HR]0.47,95%CI 0.24-0.73,p=0.008),腎症(HR 0.39,95%CI 0.17-0.87,p=0.003),網膜症(HR 0.42,95%CI 0.21-0.86,p=0.02),自律神経障害(HR 0.37,95%CI 0.18-0.79,p=0.002)の発生リスクも有意に低下した。
●結論 微量アルブミン尿が認められる2型糖尿病患者において,リスク因子の改善を目標とした長期の集中的多因子治療により,心血管および細小血管イベントの発生リスクが約50%低下した。