編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Schwartz L, Kip KE, Frye RL, Alderman EL, Schaff HV, Detre KM; Bypass Angioplasty Revascularization Investigation: Coronary bypass graft patency in patients with diabetes in the Bypass Angioplasty Revascularization Investigation (BARI). Circulation 2002; 106: 2652-2658. [PubMed]

一般に,糖尿病患者ではCABG後の再狭窄が多いことや予後が悪いことがいわれていたが,必ずしも非糖尿病患者に比べて悪くはないことが示された。今後,CABGも治療法のひとつとして選択肢となりうる。ただし,本論文にも述べられているように,血管の損傷が著しい例もあることには留意する必要がある。【片山茂裕

●目的 CABG施行後のグラフトの開存性を糖尿病患者と非糖尿病患者で比較検討した。
●デザイン 無作為,多施設(北米)。
●試験期間 追跡期間は4年。
●対象患者 568例:BARIの登録患者のうち,初回血行再建術としてCABGを施行され,追跡期間中に血管造影を実施された例。糖尿病治療(インスリンまたは経口血糖降下薬投与)施行症例(TDM症例)99例,非TDM症例469例。
登録基準:初回血行再建術(CABGおよびPTCA)が適応となる血管造影にて確認された重度の症候性多枝冠動脈疾患。
●方法 CABG施行後,追加の血行再建術が施行されるまでの最大追跡期間(平均3.9年)の血管造影所見を用いて開存性を評価した。
●結果 初回CABG時に留置されたグラフト数は,TDM症例3.0本(n=297,内胸動脈[IMA]33%),非TDM症例2.9本(n=1347,IMA 34%)と同等であった。TDM症例では非TDM症例に比して,<1.5mmの末梢血管(29 vs. 22%),重度のびまん性内膜肥厚または血管内膜除去術施行の血管(11 vs. 6%)へのグラフト留置が有意に多かった。血管造影所見で≧50%の狭窄を認めなかったIMAグラフトはTDM症例89%,非TDM症例85%(p=0.23),静脈グラフトは71%,75%(p=0.40)と同等であった。多変量解析では,TDMと≧50%のグラフト狭窄との間に相関はみられなかった(補正オッズ比0.87,95%CI 0.58-1.32)。
●結論 糖尿病患者ではグラフト留置血管がより細く,状態も不良であるにもかかわらず,4年の追跡期間において,糖尿病はIMAおよび静脈グラフトの開存性に悪影響を及ぼさないことが示された。これまでの試験で観察されたCABG治療後の糖尿病および非糖尿病患者における生存率の差異は,非心原性の死亡リスクによるものが大きいと考えられる。