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The CDC Diabetes Cost-effectiveness Group: Cost-effectiveness of intensive glycemic control, intensified hypertension control, and serum cholesterol level reduction for type 2 diabetes. JAMA 2002; 287: 2542-2551. [PubMed]
2型糖尿病仮想患者に介入し,どの治療が質の高い生存期間(QALY)をより延長できるか,またどの治療のコスト効率が高いかを検討したものである。
その結果,厳格血圧コントロールにおけるコスト効率の優位性が示され,糖尿病診療における高血圧治療の重要性が確認された。また,より若い年齢から血糖コントロールを始めたほうが,少ない費用でQALYを延長することができ,早期診断,早期治療の必要性が示された。【河盛隆造】
●目的 | 2型糖尿病の合併症を抑制する各種療法(厳格血糖コントロール,厳格血圧コントロール,血清脂質低下療法)の費用対効果を検討した。 主要アウトカムは費用-効果比(質調整生存年[QALY]あたりの費用)。 |
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●デザイン | 仮想コホート。 |
●試験期間 | - |
●対象患者 | 米国在住の新規2型糖尿病患者。25~94歳。 |
●方法 | UKPDSおよびその他の試験データを用いて,厳格血糖コントロールと標準血糖コントロール,厳格血圧コントロールと標準血圧コントロール,血清脂質低下療法と標準治療に要する総費用およびQALYを比較するとともに,費用-効果比を算出した。費用はいずれも1年あたり3%を差し引き,1997年の米国における貨幣価値(注:1997年の平均レート1ドル=121.07円)で算出された。 ・厳格血糖コントロールはインスリンまたはスルホニル尿素による治療,標準血糖コントロールは主に食事療法。 ・厳格血圧コントロールはACE阻害薬またはβ遮断薬による治療,標準血圧コントロールは食事療法または降圧薬(ACE阻害薬およびβ遮断薬以外)による治療。 ・血清脂質低下療法はHMG-CoA還元酵素阻害薬pravastatinによる治療,標準療法は非薬物療法。 |
●結果 | 厳格血糖コントロールは標準血糖コントロールに比して,総費用およびQALYともに増加した。費用-効果比の増加は5,010,361円で,診断時年齢の上昇とともに急激な上昇傾向を認めた(25~34歳:1,163,967円,85~94歳:2億5425万円)。 厳格血圧コントロールは標準血圧コントロールに比して,総費用は減少したがQALYは増加し,費用-効果比は237,176円減少した。 血清脂質低下療法は標準治療に比して,総費用およびQALYともに増加した。費用-効果比の増加は6,282,201円で,診断時年齢によりばらつきがあり,45~84歳の場合に最も低かった。 |
●結論 | 厳格血圧コントロールは治療費を低減し,かつアウトカムを改善した。一方,厳格血糖コントロールおよび血清脂質低下療法は,アウトカムを改善したが治療費も増加したことから,これらの療法の費用対効果は標準治療と同等であると考えられた。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1283件のトライアルを収載しています。