編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Gray A, Raikou M, McGuire A, Fenn P, Stevens R, Cull C, Stratton I, Adler A, Holman R, Turner R: Cost effectiveness of an intensive blood glucose control policy in patients with type 2 diabetes: economic analysis alongside randomised controlled trial (UKPDS 41). United Kingdom Prospective Diabetes Study Group. BMJ 2000; 320: 1373-1378. [PubMed]

2型糖尿病における厳格な血糖コントロールの費用対効果をみた試験。UKPDSの集団での検討であり,外来受診頻度が3~4ヵ月に1度など,わが国の医療状況とは異なる点も多い。また,大血管障害の頻度や治療費用の相違などもあるが,合併症の治療費用削減効果および非発症期間延長効果は,わが国でもある程度なり立つと思われ,意義あるものといえよう。【河盛隆造

●目的 新規2型糖尿病患者において,厳格な血糖コントロールの費用対効果を従来療法と比較検討した。
主要アウトカムはイベント非発生期間1年あたりの総コストの増加。エンドポイントは死亡または糖尿病合併症(冠動脈心疾患,脳血管疾患,下肢切断,網膜症のレーザー治療,白内障手術,腎不全)。
●デザイン 無作為,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は10年(中央値)。
●対象患者 3867例:新規に診断された2型糖尿病(2回の測定で空腹時血漿ブドウ糖[FPG]値>108mg/dL)患者のうち,25~65歳で,食事療法後のFPG値110~270mg/dLかつ高血糖症状を認めない例。平均53歳。
●方法 患者を,従来療法群(1138例)と厳格療法群(2729例)にランダム化。
・従来療法群:主として食事療法を実施。目標は糖尿病症状消失およびFPG値≦270mg/dL。
・厳格療法群:スルホニル尿素(1573例)またはインスリン(1156例)を投与。目標はFPG値≦108mg/dL。
・直接費用(従来療法または厳格療法の費用,医療施設の受診費用,糖尿病合併症の治療費用)のみを評価した。なお,費用はすべて1997年の英国における貨幣価値(注:1997年平均レート 1ポンド=198.15円)で算出された。
●結果 厳格療法群では従来療法群に比して,通常の治療費用が1例あたり137,714円(95%CI[以下同]109,973~165,653円)増加したが,合併症の治療費用は189,630円(46,169~333,090円)低下し,総費用は両群間に差はなかった。臨床試験実施下ではない標準診療を想定した場合,厳格療法による総費用の増加は1例あたり94,716円(-54,491~244,121円)であった。
厳格療法群では従来療法群に比して,イベント非発生期間が0.60年(0.12~1.10年)延長し,治療効果が試験終了後も持続すると仮定した場合の期待余命は1.14年(0.69~1.61年)延長した。
また,標準診療を想定した場合,厳格療法によるイベント非発生期間1年あたりの総費用増加は,費用および効果を1年あたり6%差し引くと 231,043円(-137,120~1,747,485円),費用のみを1年あたり6%差し引くと111,558円(-68,164~1,115,981円)であった。
●結論 2型糖尿病患者に対する厳格な血糖コントロールは,通常の治療費用を顕著に増大させたが,合併症の治療費用は大幅に低減し,また合併症の非発症期間を延長した。