編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Chiasson JL, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M; STOP-NIDDM Trial Research Group: Acarbose for prevention of type 2 diabetes mellitus: the STOP-NIDDM randomised trial. Lancet 2002; 359: 2072-2077. [PubMed]

IGTから糖尿病への進展予防のため,ライフスタイル改善や薬物などによる介入が試みられてきた。本研究では,αグルコシダーゼ阻害薬(acarbose)による介入効果を検討した。
その結果,3.3年の追跡で糖尿病発症が32%であり,プラセボ群との比較で25%の低下を示した。これは,ライフスタイル介入により糖尿病発症がプラセボ群比で58%低下したDPPと比べると,やや物足りない結果である。またacarbose群はプラセボ群に比較して早期脱落症例が多く,その主な理由は腹部膨満感などの消化器系副作用であった。このような問題点もあるが,日常診療の場でライフスタイル改善を長期にわたり厳格に行うことは困難であることも事実である。本研究で示された薬物による糖尿病発症抑制効果は,介入手段として検討に値するものと考えられる。【河盛隆造

●目的 耐糖能異常(IGT)から2型糖尿病への進展に対するαグルコシダーゼ阻害薬acarboseの抑制効果を検討した。
一次エンドポイントは2型糖尿病発症(75g OGTT 2時間値[2時間値]≧200mg/dL)。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均3.3年。登録期間は1995年12月~1998年7月。2001年8月試験終了。
●対象患者 1429例:IGT(2時間値140~200mg/dL)を有する例。40~70歳。BMI 25~40kg/m²。空腹時血糖(FPG)値101~139mg/dL。
●方法 患者をacarbose群(714例)とプラセボ群(715例)にランダム化。
・治療期間(≧3年):acarbose群は50mg/日より開始し,300mg/日(分3)まで徐々に増量。全例に食事および運動に関する患者指導を行った。
・1年ごとに75g OGTTを実施し,糖尿病発症を評価。また3ヵ月ごとのFPG測定で≧126mg/dLの場合は随時75g OGTTを実施した。
・wash-out期間(3ヵ月):全例にプラセボを投与。3ヵ月時にFPG測定と75g OGTTを実施した。
●結果 IGTを有さないかランダム化後のデータが得られなかった61例(4%)を除外し,acarbose群682例,プラセボ群686例を解析対象とした。このうち,acarbose群の211例(31%),プラセボ群の130例(19%)は早期に治療を中止した。
糖尿病を発症したのはacarbose群211例(32%),プラセボ群285例(42%)で,糖尿病発症リスクはacarbose群で25%低下した(相対ハザード0.75[95%CI 0.63-0.90],p=0.0015)。また,正常耐糖能への回復はacarbose群で有意に増加した(241例[35%] vs. 212例[31%];p<0.0001)。
wash-out期間における糖尿病発症率は,acarbose群で高かった(47/306 vs. 21/199例)。
最も多くみられた有害事象は腹部膨満感(486例[68%] vs. 196例[27%])および下痢(229例[32%] vs. 123例[17%])で,acarbose群でより高頻度であったが,いずれも軽度または中等度であった。
●結論 IGT患者に対するacarbose投与は,2型糖尿病発症の抑制に有効であり,生活習慣改善の代替療法あるいは併用療法として有効であると考えられる。