編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Diabetes Prevention Trial-Type 1 Diabetes Study Group: Effects of insulin in relatives of patients with type 1 diabetes mellitus. N Engl J Med 2002; 346: 1685-1691. [PubMed]

本試験では,インスリン投与による1型糖尿病の発症予防効果は認められなかった。しかしながら,1型糖尿病発症の高リスク例では,定期的な血糖検査により糖尿病の発症(多くは無症状)を早期に診断できることが明らかにされた。また,ベースライン時の血糖値が高いほど,短期間で糖尿病が発症することも明らかにされた。【片山茂裕

●目的 糖尿病患者の親族のうち,顕性糖尿病の5年発症リスクが≧50%の症例に対するインスリンの発症抑制または予防効果を検討した。
一次エンドポイントは糖尿病発症。
●デザイン 無作為,非盲検,多施設(米国,カナダ),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は3.7年(中央値)。1994年2月15日スクリーニング開始。割付け期間は1994年12月31日~2000年10月31日。
●対象患者 339例:糖尿病患者の一親等または二親等親族(84228人)のうち,糖尿病の5年予測発症リスクが≧50%の例。3~45歳(一親等),3~20歳(二親等):中央値11.2歳。
登録基準:膵島細胞抗体陽性,糖尿病抵抗性のHLAハプロタイプ(HLA-DQA1*0102,DQB1*0602)陰性,静脈内ブドウ糖負荷試験(IVGTT)に対する第1相インスリン反応が閾値以下および/またはOGTT異常所見。
●方法 対象を耐糖能によって層別化後,介入群(169例)と観察群(170例)に割付け。
・介入群:ヒトultralenteインスリン0.125U/体重(kg)を皮下注(2回/日)。ベースライン時および12ヵ月ごとに,入院でヒトレギュラーインスリン 0.015U/体重(kg)/時を持続静注(4日間)。目標血糖値60~80mg/dL。
・OGTTを6ヵ月ごとに実施。食事負荷試験をベースライン時,1年後,3年後,5年後,試験終了時に実施。IVGTTを2年後,4年後,6年後,試験終了時に実施。血糖値5回/日(各食前,夕食後2時間,午前3時)測定を3ヵ月ごとに実施。
●結果 糖尿病の発症を認めたのは介入群69例,観察群70例で,その大部分(73.4%)は無症状であった。年間発症率は15.1%,14.6%で,累積発症率は両群で同等であった(介入群の観察群に対する相対リスク 0.96,p=0.80)。糖尿病発症は,ベースライン時の耐糖能異常例で正常例に比してより速かった(22 vs. 10%/年;p<0.001)。重度の低血糖はみられず,症状を伴わない低血糖(血糖値5回/日測定で≧2回が<50mg/dL)の発現率は両群で同等であった。
●結論 糖尿病発症の高リスク例では,インスリン0.25U/体重(kg)/日の皮下注は,1型糖尿病の発症抑制効果または予防効果が認められなかった。