編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Zhang Y, Howard BV, Cowan LD, Yeh J, Schaefer CF, Wild RA, Wang W, Lee ET: The effect of estrogen use on levels of glucose and insulin and the risk of type 2 diabetes in american Indian postmenopausal women : the strong heart study. Diabetes Care 2002; 25: 500-504. [PubMed]

estrogenの糖尿病発症に及ぼす影響については,白人におけるいくつかの検討で影響がよいとする報告がある一方,発症を促進するとする報告もある。糖尿病発症率の高いアメリカインディアンで行われた今回の成績は,そういう意味で意義深い。
estrogenが耐糖能への影響を及ぼす機序については,膵β細胞のブドウ糖に対する反応性の低下やインスリン分泌の遅延,あるいはインスリンのクリアランスや肝における除去などが挙げられている。【片山茂裕

●目的 アメリカインディアンの閉経後女性において,estrogen投与がインスリン値および血糖値,2型糖尿病の発症リスクに及ぼす影響を検討した。
●デザイン 前向き,コホート。
●試験期間 追跡期間は平均4年。登録期間は1989~1992年。
●対象患者 857例:Strong Heart Studyの登録患者(4549例)のうち,閉経後女性で,糖尿病の既往および糖尿病治療薬の投与がなく,空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値<126mg/dLかつ75g OGTT 2時間値(2時間値)<200mg/dLで,1993~1995年に再調査が実施され,estrogen投与に関する完全なデータを有する例。
登録基準:米国Arizona州,North Dakota州,South Dakota州,Oklahoma州在住のアメリカインディアン。45~74歳。
●方法 患者をベースライン時のestrogen使用に従って,投与歴のない非投与例(604例),投与歴はあるが現在は投与されていない過去投与例(119例),現在投与例(134例)に分類した。
・estrogen投与とインスリン値および血糖値の関係をANCOVAで検討。
・estrogen投与と2型糖尿病発症(ADA基準[FPG≧126mg/dL],WHO基準[FPG≧126mg/dLまたは2時間値≧200mg/dL],2時間値≧200mg/dL)の関係をロジスティック回帰分析で検討。
●結果 患者背景を補正後のFPG値は,現在投与例で非投与例に比して3.6mg/dL低かったが,2時間値は7.2mg/dL高かった。空腹時インスリン値については両症例間に差は認められなかった。
estrogen投与と2型糖尿病発症リスクに有意な相関は認められなかったが,2時間値を基準に含めた場合はオッズ比(OR)の上昇傾向がみられた(補正後のOR[現在投与例 vs. 非投与例+過去投与例]:ADA基準0.48[95%CI 0.20-1.14],WHO基準1.11[95%CI 0.62-1.97],2時間値 1.58[95%CI 0.81-3.1])。また,現在投与例では投与期間の延長に伴って2型糖尿病発症リスクが増大していた(投与1年あたりのOR[補正後]:1.10[95%CI 1.01-1.19])。
●結論 アメリカインディアンの閉経後女性に対するestrogen投与は,耐糖能を低下させることが示唆された。また,estrogen投与期間の延長は2型糖尿病の発症リスクを増大させることが示された。