編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2021年11月現在,1269報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Kip KE, Alderman EL, Bourassa MG, Brooks MM, Schwartz L, Holmes DR Jr, Califf RM, Whitlow PL, Chaitman BR, Detre KM: Differential influence of diabetes mellitus on increased jeopardized myocardium after initial angioplasty or bypass surgery: bypass angioplasty revascularization investigation. Circulation 2002; 105: 1914-1920. [PubMed]

糖尿病患者では,PTCAによる血管形成術の予後が悪いことが知られている。本試験では,糖尿病患者がPTCAを受けた場合には,CABGを受けた場合に比較して中期的な予後が劣ることが示されている。PTCA施行後の数年の経過中に,≦50%の狭窄病変が≧50%に進行することを意味しているのかもしれない。さらなる今後の検討が待たれる。【片山茂裕

●目的 初回PTCAまたはCABGを施行された多枝冠動脈疾患(CAD)患者において,糖尿病が中~長期の血管造影所見に及ぼす影響を検討した。
●デザイン 無作為,多施設(北米)。
●試験期間 追跡期間は5年。登録期間は1988年8月~1991年7月。
●対象患者 897例:BARIに登録され,PTCA群またはCABG群に割付けされた患者(1829例)のうち,初回血行再建術によりjeopardized myocardium(危機に瀕した心筋:≧50%の狭窄より遠位の心筋が左室に占める割合)の減少が得られ,かつ追跡期間中に血管造影を実施された例。PTCA群528例(糖尿病患者97例[18%]),CABG群369例(糖尿病患者58例[16%])。
登録基準:初回血行再建術が適応となる血管造影にて確認された重度の症候性多枝CAD。重度の左主冠動脈疾患を有さない多領域に及ぶCAD。PTCAおよびCABGの適応。
●方法 PTCA群とCABG群について,初回血行再建術後の血管造影所見におけるjeopardized myocardiumの増加を糖尿病患者と非糖尿病患者で比較した。血管造影は,1年後および5年後(プロトコール内),または臨床上必要とされた場合(プロトコール外)に行った。
●結果 PTCA群では,1年後におけるjeopardized myocardium増加率は糖尿病患者(19例)で非糖尿病患者(109例)に比して有意に大きく(42 vs. 24%,p=0.05),30ヵ月以内に実施されたプロトコール外の初回血管造影(82例,273例)についても同様であった(63 vs. 50%,p=0.01)。しかし,5年後(22例,173例)においては有意差は認められなかった(34 vs. 26%,p=0.33)。プロトコール内外を問わず30ヵ月以内の初回血管造影所見について多変量解析を行ったところ,糖尿病患者ではjeopardized myocardium増加リスクが約2倍に増大しており,これは補正後も同様であった。
一方CABG群では,いずれの時点においても,糖尿病患者と非糖尿病患者でjeopardized myocardium増加率に有意差は認められなかった(1年後[26例,106例]:11 vs. 15%,p=0.25,5年後[25例,171例]:26 vs. 25%,p=0.88,30ヵ月以内に実施されたプロトコール外の初回血管造影[18例,85例]:19 vs. 28%,p=0.26)。多変量解析でも,糖尿病とjeopardized myocardium増加に相関はみられなかった。
●結論 初回PTCA施行患者の中期の血管造影所見では,糖尿病によりjeopardized myocardium率の増加がみられたが,CABG施行患者ではみられなかった。この影響の相違は,血管造影が臨床上必要とされたか否かにかかわらず認められた。