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Rendell MS, Rajfer J, Wicker PA, Smith MD: Sildenafil for treatment of erectile dysfunction in men with diabetes: a randomized controlled trial. Sildenafil Diabetes Study Group. JAMA 1999; 281: 421-426. [PubMed]
1999年にわが国でもsildenafilが発売された。本試験のように,糖尿病患者における有効性と安全性が確立されたといえる。患者のQOL改善のため,患者がリクエストのしやすい環境作りや,適正な使用が望まれる。【片山茂裕】
●目的 | 糖尿病男性患者の勃起不全(ED)治療における経口sildenafil投与の有効性と安全性を検討した。 主要アウトカムは患者の自己報告による勃起能(勃起の達成および維持),有害事象。 |
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●デザイン | 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。 |
●試験期間 | 試験期間は1996年5~11月。 |
●対象患者 | 268例:EDを有する糖尿病男性患者。≧18歳(平均57歳)。ED罹病期間≧6ヵ月(平均5.6年)。糖尿病罹病期間:1型≧5年または2型≧2年(平均12年)。糖尿病の治療法が過去3ヵ月以上一定。HbA1c<12%かつFPG≦300mg/dL。パートナーとの関係が過去6ヵ月以上安定。 除外基準:勃起を著しく障害する陰茎の解剖学的奇形。ED以外の性障害の一次診断。治療下でコントロール不良の重度精神障害。脊髄損傷。重度の血液障害,腎障害,肝障害の既往。過去6ヵ月の脳卒中または心筋梗塞。活動性消化性潰瘍。低血圧(安静時血圧<90/50mmHg)または高血圧(安静時SBP>170mmHgまたは安静時DBP>100mmHg)。活動性の増殖糖尿病網膜症または重度の自律神経障害。過去3年のケトアシドーシス。硝酸塩または男性ホルモンによる継続治療。 |
●方法 | 無治療のrun-in期間(4週)後,患者をsildenafil群(136例)とプラセボ群(132例)に割付け。 治療期間(12週)は,sildenafilまたはプラセボを必要に応じて(ただし≦1回/日)性行為の1時間前に服用。sildenafilは50mgから開始し,有効性と忍容性に応じて担当医師の判断により25~100mgに調整可能。他のED治療は中止。 ベースライン時および12週後の勃起能を,国際勃起機能スコア(IIEF)を用いて評価した(15項目)。 |
●結果 | 試験完了例は252例(94%)であった(sildenafil群131例,プラセボ群121例)。 1回以上のデータが得られた258例(131例,127例)のintention-to-treat解析を行ったところ,IIEFの勃起の達成(項目3)および維持(項目4)の12週後の平均スコアはsildenafil群で有意に改善された(いずれもp<0.001)。他の13項目中11項目の平均スコアも,sildenafil群で有意な改善が認められた(p<0.001)。勃起能の改善が得られたのは,sildenafil群74例(56%),プラセボ群13例(10%)であった(p<0.001)。1回以上の性交成功例も,61%(71/117例),22%(25/114例)とsildenafil群で有意に多かった(p<0.001)。 有害事象を全対象患者について検討すると,治療関連の有害事象はsildenafil群22例(16%),プラセボ群1例(1%)に発現したが,大部分は一過性かつ軽度から中等度であり,sildenafil群では有害事象による投与中止例はなかった。多く認められたのは頭痛(11 vs. 2%),消化不良(9 vs. 0%),気道障害(主として副鼻腔うっ血またはドレナージ:6 vs. 2%)で,心血管イベントの発生率は両群で同等であった(3 vs. 5%)。 |
●結論 | 経口sildenafil投与は糖尿病男性患者のED治療に有効であり,忍容性も良好であることが示された。 |
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