編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Stratton IM, Adler AI, Neil HA, Matthews DR, Manley SE, Cull CA, Hadden D, Turner RC, Holman RR: Association of glycaemia with macrovascular and microvascular complications of type 2 diabetes (UKPDS 35): prospective observational study. BMJ 2000; 321: 405-412. [PubMed]

2型糖尿病患者において,血糖コントロールにより糖尿病関連エンドポイント発症が抑制されることは,UKPDS 33で明らかにされている。本試験では,UKPDS対象患者をポアソン回帰モデルで補正し,平均HbA1c値が1%低下することによる合併症リスクの低下がどの程度かを検討している。HbA1c値低下と合併症リスク低下はよく相関していたが,閾値は見いだせず,HbA1cの目標値を設定するには至らなかった。【河盛隆造

●目的 2型糖尿病患者において,長期の血糖値と大血管および細小血管合併症の発生リスクとの関係を検討した。
一次複合エンドポイントは糖尿病合併症,糖尿病関連死,全死亡。二次複合エンドポイントは心筋梗塞(MI),脳卒中,下肢切断(末梢血管疾患死),細小血管障害(主に網膜光凝固術)。個別エンドポイントは非致死性心不全,白内障手術。糖尿病診断時の交絡因子を補正後の追跡時点における平均HbA1c値1%低下に伴うリスク低下。
●デザイン 無作為,多施設。
●試験期間 追跡期間は10.4年(中央値)。登録期間は1977~1991年。1997年9月30日試験終了。
●対象患者 4585例:UKPDSの登録患者(25~65歳,新規2型糖尿病患者)5102例のうち,糖尿病の診断後3ヵ月にHbA1c測定が実施された白人,アジア系インド人,アフリカ系カリブ人。
除外基準:重度の血管疾患,過去1年のMIまたは脳卒中,重度の全身疾患。
●方法 3ヵ月のrun-in期間(食事療法を実施)後,空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値110~270mg/dLかつ高血糖症状のない3867例を,従来療法群(1138例)と強化療法群(2729例)に割付け。
・従来療法群:主として食事療法を実施。目標FPG<270mg/dL。FPG≧270mg/dLまたは高血糖症状を認めた場合,非強化療法群(スルホニル尿素[SU]またはインスリンを投与[目標FPG<270mg/dLかつ高血糖症状の消失])に割付け。
・強化療法群:SUまたはインスリンを投与。目標FPG<108mg/dL。
・HbA1c値をベースライン時,その後1年ごとに測定し,大血管および細小血管合併症との相関を検討した。
●結果 一次複合エンドポイントの発生率(背景因子を補正)は,追跡時点の平均HbA1c値の上昇とともに増加し,HbA1c値≧10%の場合(124.9/1000人・年)では,<6%の場合(35.9/1000人・年)に比して3倍であった。その他のエンドポイントについても,HbA1c値の上昇に伴う発生率の増加が認められた。
交絡因子に関する完全なデータを有する3642例の検討では(交絡因子を補正),追跡時点の平均HbA1c値が1%低下することによる発生リスクの低下は,一次複合エンドポイント21%(95%CI[以下同]17-24%,p<0.0001),糖尿病関連死21%(15-27%,p<0.0001),MI14%(8-21%,p<0.0001),細小血管障害37%(33-41%,p<0.0001)であった。いずれについても,発生リスクの低下または上昇に関するHbA1c値の閾値は認められなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,合併症発症リスクと血糖値上昇には強い相関が認められた。HbA1c値の低下により合併症発症リスクが低減し,正常域(<6%)の場合に最もリスクが低いことが示された。