編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Knowler WC, Barrett-Connor E, Fowler SE, Hamman RF, Lachin JM, Walker EA, Nathan DM; Diabetes Prevention Program Research Group: Reduction in the incidence of type 2 diabetes with lifestyle intervention or metformin. N Engl J Med 2002; 346: 393-403. [PubMed]

2型糖尿病発症の高リスク群で,ライフスタイルの改善やインスリン抵抗性を改善するビグアナイドがいかに有効であるかを証明した重要な試験である。糖尿病の発症を遅らせただけなのか,心血管疾患の発症も減少したのか,今後のフォローアップが期待される。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病発症の高リスク者で,ライフスタイル介入プログラムあるいはmetformin(ビグアナイド)投与による発症抑制効果を比較検討し,その効果が年齢,性別,人種または民族により異なるかを検討。一次アウトカムは糖尿病の発症。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均2.8年。割付け期間は1996~1999年。2001年5月試験終了。
●対象患者 3234例:2型糖尿病発症高リスクで糖尿病未発症の者。平均51歳。平均BMI 34.0kg/m²。女性68%。少数民族45%。
登録基準:≧25歳。BMI≧24kg/m²(アジア人では≧22kg/m²)。空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値95~125mg/dL(アメリカンインディアンでは≦125mg/dL),なお1997年6月以前はFPG値100~139mg/dL(アメリカンインディアンでは≦139mg/dL)。75g OGTT 2時間値140~199mg/dL。
除外基準:耐糖能に影響を与える薬剤の投与。平均余命を著しく短縮する疾患。試験参加が困難となる疾患。
●方法 患者をライフスタイル介入群(1079例),metformin(850mg×2回/日)群(1073例),プラセボ群(1082例)に割付け。
・ライフスタイル群では,ライフスタイル改善の強化プログラム(治療目標:低カロリー,低脂肪の食事療法による7%以上の体重減少とその維持,150分以上/週の中等度の運動)を実施。
・metformin群では,850mg×1回/日とプラセボ1回/日から投与を開始し,1ヵ月後に消化器症状を認めなければ850mg×2回/日に増量。
・metformin群とプラセボ群では,標準的なライフスタイル教育(食品指導ピラミッドおよび米国コレステロール教育プログラム[NCEP]Step1を推奨)を実施。
・OGTTを毎年,FPG測定を半年ごとおよび糖尿病様症状発現時に実施し,糖尿病の発症を評価。
●結果 100人・年あたりの糖尿病の発症は,プラセボ群11.0例,metformin群7.8例,ライフスタイル群4.8例であった。プラセボ群と比較すると,発症率はライフスタイル群で58%(95%CI[以下同] 48-66%),metformin群で31%(17-43%)低下し,両群とプラセボ群で有意差が認められた。さらに,ライフスタイル群ではmetformin群に比して発症率が39%(24-51%)低下し,両群間に有意差が認められた。また,3年間に1例の発症を抑制するためには,ライフスタイル群で6.9例,metformin群で13.9例に対する治療が必要であると算定された。
サブグループ解析では,ライフスタイル群とmetformin群において,性別,人種または民族による相違は認められなかった。
●結論 ライフスタイル介入プログラムとmetformin投与はいずれも,高リスク例における2型糖尿病発症を有意に抑制した。さらに,ライフスタイル介入プログラムはmetformin投与に比べ有効性が高かった。