編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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The DECODE-study group on behalf of the European Diabetes Epidemiology Group: Is fasting glucose sufficient to define diabetes? Epidemiological data from 20 European studies. Diabetes Epidemiology: Collaborative analysis of Diagnostic Criteria in Europe. Diabetologia 1999; 42: 647-654. [PubMed]

FPG値のみを糖尿病の診断に用いると,糖尿病患者の実に31%を見逃すこととなり,OGTTの意義を再確認したといえる。また,FPG値の至適カットポイントがBMIに伴い上昇することも重要である。すなわち,肥満度の強くない日本人の糖尿病の診断には,FPG値は現在の126mg/dLよりさらに低い値が適していると考えられ,今後の検討を要するであろう。【片山茂裕

●目的 欧州で行われた20の疫学研究データより,空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値126mg/dLはOGTT 2時間値(2時間値)200mg/dLに相当するかを検討し,FPG値と2時間値測定による段階的スクリーニング法の感度と特異性の評価,耐糖能異常(IGT)と空腹時血糖異常(IFG)の比較およびIFGの心血管リスクプロファイルの評価を行った。
●デザイン メタアナリシス。
●試験期間 -
●対象患者 47396例:欧州で行われた成人の糖尿病罹患率に関する研究(住民対象の17研究,職業集団対象の3研究)[下部NOTE参照]のデータ。男性27799例,女性19597例。
除外基準:糖尿病の既往。
●方法 各研究データの個別および総合解析を行った。総合解析では,50g OGTTが実施されたアイスランドの18288例(男性8881例,女性9407例)と75g OGTTが実施されたそれ以外の29108例(男性18918例,女性10190例)を分けて解析し,耐糖能レベルの解析では75g OGTT実施例を対象とした。
●結果 2時間値≧200mg/dL(糖尿病レベル)に相当するFPG値の至適カットポイントは,男性で高く(男性115mg/dL,女性105mg/dL),年齢による差はなく(各年齢層[<50歳,50~64歳,65~74歳,≧75歳]で108~114mg/dLの範囲),BMIに伴い上昇した(BMI≧30kg/m²症例119mg/dL,25~29kg/m²症例114mg/dL,<25kg/m²症例105mg/dL)。
FPG値のカットポイントを141mg/dLとすると,感度29.8%,特異性99.7%で2時間値の糖尿病レベルに相当した。126mg/dLとすると,感度は49.0%に上昇し,特異性は98.2%とほとんど低下しなかった。
2時間値が糖尿病レベル症例の31%,IGTレベル(141~198mg/dL)症例の約70%でFPG値が正常であった。
一定のFPG値症例で2時間値を測定する段階的スクリーニング法を,FPG値99~126mg/dL(非糖尿病レベル)症例に行った場合,2時間値が糖尿病レベルは93%,IGTレベルは69%であった。FPG値110~126mg/dL(IFGレベル)症例に行った場合,2時間値が糖尿病レベルは82%,IGTレベルは29%であった。
IGTとIFGの比較では,FPG値がIFGレベルで2時間値がIGTレベルの症例は29%,2時間値がIGTレベルでFPGがIFGレベルの症例は23%であったことから,IFGとIGTは同一の症例を特定していないことが示された。IFG症例の心血管リスク因子を2時間値別(正常,IGT,糖尿病)に性別と年齢(<60歳,≧60歳)で分けて検討すると,SBP,DBP,BMIは2時間値の増加に伴い有意に上昇した(SBPおよびDBPは≧60歳女性を除く,BMIは≧60歳男性を除く)。
●結論 FPG値のみで診断した場合,31%の糖尿病患者(FPG値は非糖尿病レベル,2時間値は糖尿病レベル)は検出されないこと,IFGとIGTは同一の症例を特定していないこと,IFG症例の心血管リスクは2時間値に影響を受けることが示された。また,FPG値と2時間値の主要な交絡因子は肥満であった。