編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Voyaki SM, Staessen JA, Thijs L, Wang JG, Efstratopoulos AD, Birkenhager WH, de Leeuw PW, Leonetti G, Nachev C, Rodicio JL, Tuomilehto J, Fagard R: Follow-up of renal function in treated and untreated older patients with isolated systolic hypertension. Systolic Hypertension in Europe (Syst-Eur) Trial Investigators. J Hypertens 2001; 19: 511-519. [PubMed]

高齢者収縮期高血圧患者を主としてCa拮抗薬(単独で60%,enalapril併用で20%)で治療した際の蛋白尿の出現率は,1000人・年あたり18.8人であり,プラセボ群の58人より有意に低いことを示した重要な試験である。【片山茂裕

●目的 Syst-Eurに参加した収縮期高血圧患者(糖尿病または蛋白尿を有する者を含む)について,ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬nitrendipineによる降圧治療の腎機能への影響を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は2年(中央値)。
●対象患者 4406例:年齢60歳以上。坐位SBP 160~219mmHg,DBP 95mmHg未満の収縮期高血圧患者。うち,糖尿病を有する者455例(10.3%),蛋白尿を有する者390例(8.9%)。
除外基準:血清クレアチニン(Cr)値≧2.0mg/dL(176.8μmol/L)。
●方法 患者を実薬群(2258例:nitrendipine 10~40mg/日)またはプラセボ群(2148例)に無作為割付け。実薬群では,坐位SBPが20mmHg以上低下,または150mmgHg未満まで低下するように増量。低下しない場合は,変更薬または併用薬としてACE阻害薬enalapril(5~20mg/日),利尿薬hydrochlorothiazide(12.5~25mg/日)のいずれかまたは両方を使用。毎年(enalapril使用の場合は3ヵ月ごと),血清Cr値および蛋白尿(>300mg/L)を測定した。
●結果 血清Cr値の最終測定時に,両群の血圧値の差はSBP 11.6/DBP 4.1mmHg(p<0.001)。intention-to-treat解析(11427患者・年)では,血清Cr値およびクレアチニンクリアランス値に降圧薬治療の影響はみられなかった。しかし,実薬群では軽症腎機能障害(血清Cr値≧2mg/dL)の発生が64%(p=0.04),蛋白尿の発生が33%(p=0.03)減少した。降圧薬治療による蛋白尿のリスク低下は,非糖尿病患者の20%に対し,糖尿病患者では71%であった(p=0.04)。降圧薬治療は,蛋白尿患者で血清Cr値を低下させたが(p<0.001),on-randomized treatment解析(7783患者・年)では,血清Cr値について,nitrendipineによる単剤治療を続けた患者で変化がなかったのに対し(p=0.98),hydrochlorothiazide単剤あるいは他の降圧薬と併用した患者では0.065mg/dLの増加がみられた(p<0.001)。
●結論 高齢者収縮期高血圧患者においてnitrendipineで開始された降圧治療は,腎機能を悪化させることなく,特に糖尿病患者において蛋白尿の進行を予防した。