編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2021年5月現在,1256報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Freeman DJ, Norrie J, Sattar N, Neely RD, Cobbe SM, Ford I, Isles C, Lorimer AR, Macfarlane PW, McKillop JH, Packard CJ, Shepherd J, Gaw A: Pravastatin and the development of diabetes mellitus: evidence for a protective treatment effect in the West of Scotland Coronary Prevention Study. Circulation 2001; 103: 357-362. [PubMed]

スタチン系薬剤のpleiotropic effects(多面発現効果)が注目されるなか,pravastatinの糖尿病発症の予防効果を示した興味ある成績である。今後のプロスペクティブな研究による検証とメカニズムの解明が期待される。【景山 茂

●目的 HMG-CoA還元酵素阻害薬pravastatinの糖尿病発症に対する抑制効果を検討した。
●デザイン 前向き,コホート。
●試験期間 追跡期間は3.5~6.1年。
●対象患者 WOSCOPSの対象となった男性6595例中,血糖値の測定が2回以上実施された5974例:45~64歳(平均年齢55.2歳)。ベースライン時における血漿脂質の平均値は,総コレステロール(TC)7.0mmol/L,LDL-C 5.0mmol/L,HDL-C 1.1mmol/L,トリグリセリド(TG)1.9mmol/L。腎および肝機能が正常で,心筋梗塞の既往歴あるいは臓器移植の施行歴がない者。
除外基準:ベースライン時に糖尿病罹患を自ら報告した者,ベースライン時の空腹時血糖(FBG)値7.0mmol/L(126mg/dL)以上の者。
●方法 FBG値の測定を,ベースライン時およびその後6ヵ月ごとに実施した。
以下のいずれかの基準を満たす場合を新たな糖尿病の発症と定義した。
・FBG値7.0mmol/L以上が2回以上の測定で確認され,かつベースライン時より2.0mmol/L(36mg/dL)以上高いFBG値が1回以上の測定で認められた場合。
・新たに血糖降下薬(経口血糖降下薬あるいはインスリン)が処方された場合。
●結果 追跡期間中に新たな糖尿病の発症が認められたのは139例であった。
糖尿病発症の有意な予測因子は,Cox比例ハザードモデルによる単変量解析ではBMI(以下ハザード比,95%CI :1.61, 1.42-1.84),白血球の自然対数(1.36,1.17-1.58),SBP(1.23,1.02-1.49),TGの自然対数(2.25,1.83-2.76),TC値(1.25,1.09-1.42),HDL-C値(0.62,0.51-0.77),ベースライン時の血糖値,pravastatin治療(0.70,0.50-0.98)であった。
また,多変量解析では,BMI(以下ハザード比,95%CI:1.29,1.12-1.49),TGの自然対数(1.55,1.14-2.09),ベースライン時の血糖値,pravastatin治療(0.70,0.50-0.99)が糖尿病発症の有意な予測因子であった。
ベースライン時の血糖値によって対象患者を5群(<4.3mmol/L [77mg/dL]群,>4.3~4.5mmol/L [77~81mg/dL]群,>4.5~4.7mmol/L [81~84mg/dL]群,>4.7~5.0mmol/L [84~90mg/dL]群,>5.0mmol/L [90mg/dL]群)に分類したところ,これら5群間に糖尿病発症リスクに関して有意差が認められ,単変量解析では>5.0mmol/L群におけるリスクは<4.3mmol/L群の13倍に増大,多変量解析では10倍に増大していた。
●結論 pravastatin治療により,糖尿病発症リスクは30%低下した(p=0.042)。このpravastatinの糖尿病発症抑制効果には,血漿TG値の低下作用だけでなく,抗炎症作用および内皮機能に対する作用も関与していると考えられた。