編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2020年9月現在,1240報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Jonas M, Reicher-Reiss H, Boyko V, Shotan A, Mandelzweig L, Goldbourt U, Behar S: Usefulness of beta-blocker therapy in patients with non-insulin- dependent diabetes mellitus and coronary artery disease. Bezafibrate Infarction Prevention (BIP) Study Group. Am J Cardiol 1996; 77: 1273-1277. [PubMed]

糖尿病とCADの合併患者に対する長期のβ遮断薬投与が,死亡率減少に有用であることを示した試験。β遮断薬の種類は影響しなかった。糖尿病患者では,低血糖症状,耐糖能,脂質代謝への影響などから,β遮断薬は使用されにくいが,本結果からは明らかなCADを有する症例での積極的使用が見直されるべきかもしれない。しかし,本検討は,β遮断薬の糖代謝への影響,糖尿病の細小血管障害の情報はないため,さらに詳細な検討が必要である。【宮尾益理子】

●目的 糖尿病と冠動脈疾患(CAD)の合併例でのβ遮断薬の有用性を,慢性期のCADを有するNIDDM患者で検討した。β遮断薬の長期投与効果を,内服群と非内服群の3年間の死亡率で比較。
●デザイン 非無作為,オープン,多施設。
●試験期間 追跡期間は3年。1990年2月~1993年1月に登録,1994年9月に死亡率を調査。
●対象患者 2723例:45~74歳。BIP study[下部NOTE参照]の追跡患者より,明らかなCAD(6ヵ月~5年以内に心筋梗塞[MI]の既往または調査前2年間に有症状の安定狭心症)を有し,病歴からNIDDM合併と思われる症例。
●方法 患者をβ遮断薬内服群911例(33%)と非内服群1812例(67%)に分け,β遮断薬の死亡率に対する有用性を比較,調査した。内服群の39%はpropranolol,61%は心選択性β遮断薬。死亡率のデータは,死亡診断書によった。
●結果 ベースラインで両群に年齢差はなかった。内服群では女性,高血圧患者が多く,末梢血管疾患患者,MIの既往のある者は少なかった。また,digoxin,利尿薬,Ca拮抗薬,抗不整脈薬を併用の症例も少なかった。NYHA分類は同程度。空腹時血糖値に軽度の差はあったが,経口血糖降下薬の使用頻度は変わらず。予想通り心拍数は少なかった。
3年間の内服群の総死亡率は,非内服群より44%低く(7.8 vs. 14.0%),心疾患死も42%低かった(4.9 vs. 8.4%)。内服薬剤間で大差はなく,bezafibrateの有無で影響はなかった。3年間の生存曲線は内服群で高く,長期になるほどその差は明らかとなった。年齢,NYHA分類,MIの既往を追加した解析では,高齢/若年,MIの既往あり/なし,NYHA II~III度以上の両群で,有用性が示された。年齢,NYHA分類,MIの既往,脳血管障害の既往,心拍数,高血圧の有無,血糖値で補正し多変量解析を行ったところ,β遮断薬の内服が独立して生命予後の改善に寄与し,全死亡の相対リスクを0.58に,心疾患死では0.66に改善した。
●結論 高リスク群であるCADとNIDDMの合併患者で,β遮断薬の長期投与が生命予後の改善に関連することが明らかとなった。