編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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The EUCLID Study Group.: Randomised placebo-controlled trial of lisinopril in normotensive patients with insulin-dependent diabetes and normoalbuminuria or microalbuminuria. Lancet 1997; 349: 1787-1792. [PubMed]

正常血圧例でも微量アルブミン尿が認められれば,ACE阻害薬を投与すべきことが示された。降圧目標値をDBP 75mmHg以下においた点は特筆に値する。【片山茂裕

●目的 主に正常血圧で糖尿病性腎症のより早期なIDDM患者を対象として,ACE阻害薬lisinoprilの腎保護作用を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は2年。
●対象患者 530例:ヨーロッパで行われていたEURODIAB studyから選ばれたIDDM患者(36歳以前に糖尿病を発症し,診断後1年以内にインスリン治療が必要だった者)。20~59歳。正常あるいは微量アルブミン尿で,75mmHg≦DBP<90mmHg,かつSBP<155mmHg。
除外基準:血清クレアチニン>1.8mg/dL,蛋白尿(アルブミン排泄率>250μg/分),血尿やその他,心腎血管系疾患を有する者。
●方法 lisinopril 10mg/日あるいはプラセボを投与。lisinoprilは,3ヵ月以降は拡張期血圧75mmHg未満を目標として20mg/日まで増量。1, 3, 6, 12, 18, 24ヵ月で血圧を測定。6ヵ月ごとにHbA1cおよび2日連続の夜間尿での尿中アルブミン排泄率(AER)を測定。
●結果 2年後のAERは,実薬群ではプラセボ群に比して2.2μg/分低くなり,18.8%低下した。この結果は,1ヵ月後の血圧で補正しても同様であった。正常アルブミン尿群での解析では,lisinoprilの投与によりAERは12.7%減少した。微量アルブミン尿群での効果はさらに大きく49.7%に達した。2年間追跡できた患者でみると,AERは正常アルブミン尿群で0.23μg/分(p=0.6),微量アルブミン尿群で38.5μg/分(p=0.001)低下した。2年後に正常アルブミン群から微量あるいはマクロアルブミン尿(蛋白尿)へ移行した率は,有意ではないものの,プラセボ群で18/227(8%),実薬群で13/213(6%)であった。観察期のAERで層別すると,5μg/分以下では効果がなく,5μg/分以上,特に20μg/分以上でAERの低下が明らかであった。
●結論 正常血圧例でもAERで20μg/分以上の微量アルブミン尿が認められれば,ACE阻害薬を投与すべきである。ただ,AERが5μg/分以上の正常アルブミン尿群でACE阻害薬を投与すべきかどうかについては,もう少し長期の検討が必要かもしれない。