編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Breyer JA, Bain RP, Evans JK, Nahman NS Jr, Lewis EJ, Cooper M, McGill J, Berl T: Predictors of the progression of renal insufficiency in patients with insulin-dependent diabetes and overt diabetic nephropathy. The Collaborative Study Group. Kidney Int 1996; 50: 1651-1658. [PubMed]

これは1型糖尿病患者を対象としているが,腎症を合併した2型糖尿病患者においても,同様に患者背景や検査上の種々の因子をみることにより,早期から積極的な治療をすべき患者を特定できる可能性を示している。【稲葉宗通】

●目的 糖尿病性腎症における腎症進展のリスク因子を,各種統計学的手法により検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設。
●試験期間 追跡期間は3年(中央値)。
●対象患者 409例:30歳以前でIDDMを発症し,糖尿病歴が少なくとも7年以上の糖尿病性腎症患者。18~49歳。糖尿病網膜症をもち,尿中蛋白排泄量≧500mg/日,かつ血清クレアチニン(Cr)<2.5mg/dL。
除外基準:妊婦,標準的食事療法から逸脱している者,白血球数<2500mm³,うっ血性心不全(NYHA III度以上),血清カリウム値≧6mmol/L。
●方法 captopril群207例(25mg×3回/日)。プラセボ群202例。降圧目標の140/90mmHgに維持できない場合は,ACE阻害薬とCa拮抗薬以外の降圧薬が投与された。
●結果 各種統計学的手法による腎症進展のリスク因子の検討で,治療前は末梢性浮腫,高血圧,平均血圧の上昇の存在が,経過中は心電図異常が,腎症進展のリスクとなった。経過中のcaptopril投与が明らかに腎症進展を抑制した。アフリカ系アメリカ人は非アフリカ系アメリカ人に比し3.5倍の腎症進展のリスクを有する。腎症進展の相対リスクはIDDM発症後5年で1.4,末梢性浮腫があると2.8,平均血圧5mmHg上昇ごとに1.2。また末梢性浮腫は独立したリスク因子であった。腎機能を一致させると,IDDMの発症年齢,末梢性浮腫,家族歴,captoprilの使用の有無がCr倍増の独立したリスク因子であった。検査上では,血清Cr値が0.25mg/dL上昇するごとに腎症の相対リスクはプラセボ群では2.2,captopril群では1.6。腎症進展の検査上の独立したリスク因子はヘマトクリット,血糖,Cr,24時間尿中蛋白排泄量であった。
●結論 試験期間中に腎症が進展しやすいリスクをもっているIDDM患者を明らかにし,これらの患者は早期から積極的治療の適応とするべきである。