編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Teuscher A, Schnell H, Wilson PW: Incidence of diabetic retinopathy and relationship to baseline plasma glucose and blood pressure. Diabetes Care 1988; 11: 246-251. [PubMed]

非増殖性,前増殖網膜症においてFPG,SBPとの関連を示し,降圧薬使用との関連も検討した初期の論文として意義深い。増殖網膜症の進展予後は血糖値,血圧以外の眼組織における微細構造の非可逆的変化にも左右されることを傍証していると考える。【竹尾浩紀・安田浩子】

●目的 糖尿病歴1年以上の患者における糖尿病網膜症の進展とその関連因子を検討した。
●デザイン 疫学,多施設。
●試験期間 追跡期間は8年(1974~)。
●対象患者 スイス在住で35~54歳の糖尿病患者(罹病期間1年以上)のうち,無作為に登録された534例(男性278例,女性256例)。WHO MSVDDに参加した患者群。
●方法 糖尿病発症年齢30歳未満インスリン治療群(第1群),30歳以上インスリン治療群(第2群),30歳以上非インスリン治療群(第3群)の3群で検討し,さらに全体で開始時のSBPにより,140mmHg以下群,141~160mmHg群,161mmHg以上群の3群に分け降圧薬の有無とあわせて検討した。
●結果 全体での解析で,網膜症の発症・進展は,開始時の早朝空腹時血糖値(FPG)の上昇と関連を認めた。第3群は第1,2群に比べ有意に進展が少なく,第1,2群間には差を認めなかった。各群での検討では第1群ではFPGとの関連はなく,第2群においてFPGと関連を認め,第3群ではFPGだけではなくSBPとも関連を認めた。さらに開始時のSBP,降圧療法の有無とで検討すると,前増殖網膜症はSBPが上昇するほど増加したが,増殖網膜症への進展は少なかった。また降圧薬未使用者においてのみSBPと新規網膜症発症との関連が認められた。
●結論 網膜症の発症・進展はFPGと関連し,インスリン治療者では進展がより早い。また,低値のFPGとSBPだけでなく降圧治療自体も,網膜症の発症を減らすことが示唆された。