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Microalbuminuria Collaborative Study Group, United Kingdom.: Intensive therapy and progression to clinical albuminuria in patients with insulin dependent diabetes mellitus and microalbuminuria. BMJ 1995; 311: 973-977. [PubMed]
IDDM患者の腎症ヘの進展には,血糖ではなく血圧コントロールが重要であることを示した。しかし,160/95mmHgはWHO/ISH分類では高血圧であり,より低い血圧値では血糖コントロールが奏功する可能性は否定できない。【盛田俊介】
●目的 | 強化インスリン療法が微量アルブミン尿を呈するIDDM患者の顕性蛋白尿進展抑制に奏功するかを,尿中アルブミン排泄量で検討した。 |
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●デザイン | 無作為,多施設。 |
●試験期間 | 追跡期間2~8年。中央値5年。 |
●対象患者 | 70例:39歳以前にIDDMを発症した患者。16~60歳。血圧<160/95mmHgで高血圧未治療,心血管・腎疾患の所見なし。試験紙でのアルブミン尿が陰性。早朝尿でアルブミン≧15mg/Lか,アルブミン/クレアチニン比≧3.5mg:mmolの患者のうち,尿中アルブミン排泄率30~200μg/分の患者を抽出。 |
●方法 | 患者を強化療法群(36例)と従来療法群(34例)に割り付けた。強化療法はインスリンの持続皮下注入か頻回投与により,HbA1を7.5%以下,空腹時血糖を72~108mg/dL,食後2時間血糖180mg/dL以下を目標にコントロールした。従来療法は中間型か短時間作用型インスリン2回うちとし,自己血糖測定を行うが目標値は設定しなかった。 |
●結果 | 両群は性別,年齢,糖尿病歴,HbA1,血圧,BMI,1日使用インスリン量には有意差を認めないが,糸球体濾過率は強化療法群で有意に高値であった。 HbA1は,強化療法により6ヵ月後には14%低下して8.9%となり,以後これを維持したが,従来療法では前値の9.8%と不変であった。顕性アルブミン尿への進展は,両治療間で有意差を認めなかった。糸球体濾過率は,両治療間で有意差を認めなかったが,強化療法群では前値より有意に低下した。血圧値は,従来療法群で有意に年平均1mmHgずつ低下した。治療法に関係なく血圧値で顕性アルブミン尿への進展を検討すると,平均血圧が93.6mmHg以上の群では,顕性アルブミン尿への進展の相対リスクは4.2であった。 |
●結論 | IDDMにおいて,強化インスリン療法による血糖コントロールよりも,従来療法による血圧値の低下のほうが,顕性アルブミン尿への進展抑制に寄与していた。 |
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