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Toyota T, Hirata Y, Ikeda Y, Matsuoka K, Sakuma A, Mizushima Y: Lipo-PGE1, a new lipid-encapsulated preparation of prostaglandin E1: placebo-and prostaglandin E1-controlled multicenter trials in patients with diabetic neuropathy and leg ulcers. Prostaglandins 1993; 46: 453-468. [PubMed]
PGE1を大豆油やレシチンなどの脂質で包み込むことで,血管病変部分に薬剤を蓄積させうることはすでに確認されており,副作用などの面からもlipo-PGE1は望ましい治療法である。Trial 2は二重盲検ではないが,従来のPGE1と比較して有効性を示した点で興味深い。【犬飼浩一】
●目的 | 血管病変部分に蓄積するように脂質で修飾された新しい剤型のprostaglandin E1(lipo-PGE1)の,糖尿病性神経障害に対する有効性を検討した。 |
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●デザイン | Trial 1:無作為,プラセボ対照,二重盲検。Trial 2:無作為,修飾しないprostaglandin E1(PGE1-CD)を対照。 |
●試験期間 | 追跡期間は4週間。 |
●対象患者 | 364例:糖尿病性神経障害を有する糖尿病患者。Trial 1:lipo-PGE1群(87例),プラセボ群(83例)。Trial 2:lipo-PGE1群(93例),PGE1-CD群(101例)。70歳以下。血糖コントロール良好の者。 除外基準:心血管,末梢性動脈閉塞疾患,その他,肝腎,血液疾患の既往のある患者。 |
●方法 | 治療期間中,糖尿病治療薬はそのまま変更せず,末梢循環動態に影響する薬剤を使用しない。Trial 1では,lipo-PGE1(10μg)またはプラセボを1日1回静注。Trial 2では,lipo-PGE1(10μg)群と,PGE1-CD(40μg)群に分け,それぞれ1日1回静注。自発痛,感覚障害の問診,潰瘍部分の面積の測定を毎週実施し有効性を評価。神経伝導速度を治療前後で測定。 |
●結果 | Trial 1では,lipo-PGE1群はプラセボ群と比較して,臨床症状の改善(p<0.01),潰瘍の消退(p<0.01)で有意の有効性を認め,Trial 2では,PGE1-CD群と比較して,臨床症状の改善(p<0.01),潰瘍の消退(p<0.01),神経伝導速度の改善(p=0.016)などで有効性が確かめられた。Trial 1ではlipo-PGE1群とプラセボ群で副作用の出現に有意差なく,Trial 2では,PGE1-CD群においてlipo-PGE1群の約2倍,血管痛,皮膚紅斑等の副作用が出現した。 |
●結論 | PGE1は,血管病変部分に蓄積するように脂質で修飾された新しい剤型のlipo-PGE1にすることにより,糖尿病性神経障害による症状の改善や下腿潰瘍の治療に対してさらに有効であることが示された。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1253件のトライアルを収載しています。