編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Gaede P, Vedel P, Parving HH, Pedersen O: Intensified multifactorial intervention in patients with type 2 diabetes mellitus and microalbuminuria: the Steno type 2 randomised study. Lancet 1999; 353: 617-622. [PubMed]

血糖コントロールに加えて高血圧や高脂血症を厳格にコントロールすることで,腎症,網膜症,自律神経障害の進展がそれぞれ73%,55%,68%抑制されることを示した重要な試験である。糖尿病のトータルケアが今後ますます求められるといえる。【片山茂裕

●目的 微量アルブミン尿が認められる2型糖尿病患者において,集中的多因子治療(生活習慣の改善および薬物療法)が細小血管障害の発現および進行に及ぼす効果を標準療法と比較検討した。
一次エンドポイントは腎症の発現(24時間尿中アルブミン排泄率[AER]中央値>300mg)。二次エンドポイントは糖尿病網膜症および神経障害の発現または進展。三次エンドポイントは大血管イベントまたは死亡。
●デザイン 無作為,オープン,パラレル。
●試験期間 追跡期間は平均3.8年。登録期間は1992~1993年。1997年12月試験終了。
●対象患者 160例:微量アルブミン尿(24時間尿中AER測定6回のうち≧4回で30~300mg)を有する2型糖尿病患者。平均55.1歳。
除外基準:>65歳または<40歳。グルカゴン1mg静注6分後の血清Cペプチド<0.17ng/mL。膵不全または膵炎による二次性糖尿病。アルコール乱用。非糖尿病性腎疾患。悪性疾患。期待余命4年以内の致死的疾患。
●方法 全例に個別の食事指導を実施後,24時間尿中AERで層別化し(30~100mg,101~300mg),標準療法群(80例)と強化療法群(80例)に割付け。
・標準療法群:1988年のデンマーク医師会の勧告に基づいた治療を実施。治療目標は,血圧<160/95mmHg,HbA1c<7.5%,トリグリセリド(TG)<195mg/dL,総コレステロール(TC)<251mg/dL,HDL-C>35mg/dL。虚血性心疾患(IHD)例にはaspirinを投与。
・強化療法群:生活習慣の改善(食事療法,運動療法,禁煙指導)および段階的薬物療法を実施。治療目標は,血圧<140/85mmHg,HbA1c<6.5%,TG<151mg/dL,TC<193mg/dL,HDL-C>43mg/dL。段階的薬物療法として,全例にACE阻害薬captopril 100mg/日,ビタミンC 250mg/日,ビタミンE 100mg/日を投与。IHD例にはaspirin 150mg/日を投与。食事療法のみを3ヵ月実施後HbA1c<6.5%を維持できない高血糖例には,metformin(ビグアナイド)≦2g/日(肥満例[BMI>25kg/m²])またはスルホニル尿素gliclazide≦320mg/日(痩せまたはmetformin禁忌例)を投与。高血圧(≧140/85mmHg)例には,ACE阻害薬またはAII受容体拮抗薬を投与し,必要に応じてサイアザイド系利尿薬,Ca拮抗薬,β遮断薬を追加。空腹時血清コレステロール>193mg/dLまたは複合型高脂血症例にはスタチンを投与し,高中性脂肪例にはフィブラート系薬を投与。
●結果 強化療法群(73例)では標準療法群(76例)に比して,腎症の発現(8 vs. 19例,オッズ比[OR] 0.27[95%CI 0.10-0.75],p=0.01),網膜症の進展(19 vs. 33例,OR 0.45[95%CI 0.21-0.95],p=0.04),自律神経障害の進展(8 vs. 22例,OR 0.32[95%CI 0.12-0.78],p=0.01)が有意に少なかった。大血管イベントまたは死亡も,強化療法群(77例)で標準療法群(78例)に比して有意に少なかった(26 vs. 42例,OR 0.45[95%CI 0.22-0.93],p=0.03)。
●結論 微量アルブミン尿が認められる2型糖尿病患者において,集中的多因子治療により腎症,網膜症,自律神経障害の進展が抑制されることが示された。しかし,大血管障害および死亡に対する効果については,さらなる研究が必要である。