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Feutren G, Papoz L, Assan R, Vialettes B, Karsenty G, Vexiau P, Du Rostu H, Rodier M, Sirmai J, Lallemand A, et al.: Cyclosporin increases the rate and length of remissions in insulin- dependent diabetes of recent onset. Results of a multicentre double- blind trial. Lancet 1986; 2: 119-124. [PubMed]
1型糖尿病は,免疫機序による膵島炎により膵β細胞が障害され発症すると考えられている。cyclosporinはこの免疫反応を抑制することによって寛解に有効であるが,腎障害,脳症,発癌性等の副作用についてさらに検討が必要と考えられる。【中嶋邦博】
●目的 | 免疫抑制薬cyclosporinはT細胞を中心とした免疫反応を抑制すると考えられている。発症早期の1型糖尿病にcyclosporinを投与することにより,寛解を促す効果を検討した。 |
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●デザイン | 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設。 |
●試験期間 | 6ヵ月間。治療効果がみられた場合は9ヵ月まで継続。 |
●対象患者 | 122例:発症6ヵ月以内の1型糖尿病患者。15~40歳。 除外基準:膵炎,膵摘出,腎疾患,悪性腫瘍,結核,全身性感染症,AIDS,妊娠または妊娠の可能性のある者。 |
●方法 | cyclosporin(63例,7.5あるいは10mg/kg/日),またはプラセボ群(59例)に割付け。両者とも自己血糖測定を併用し,インスリン投与で血糖管理を行った。スルホニル尿素内服やCSII(持続的皮下インスリン注入)は行っていない。 インスリン投与なく空腹時血糖<7.8mmol/L,食後血糖<11.1mmol/L,HbA1c≦7.5%となった場合を完全寛解,同様の血糖でインスリン1日投与量が0.25U/kg未満となった場合を部分寛解とした。 |
●結果 | 完全寛解率は,6ヵ月後ではcyclosporin群で25.4%,プラセボ群で18.6%と有意差を認めなかったが,9ヵ月後ではcyclosporin群で24.1%であり,プラセボ群5.8%と比較して有意に高かった。 完全寛解率および部分寛解率も,9ヵ月後ではcyclosporin群で37.0%と,プラセボ群13.5%と比較して有意に高かった。また,cyclosporin血中濃度が高いほうが,寛解率が高かった。 cyclosporin群では投与中に血中クレアチニン上昇が52%にみられたが,一過性であった。その他副作用としては多毛症が最も多くみられ(45%),ついで歯肉増殖,感覚異常であった。 |
●結論 | cyclosporinは1型糖尿病の寛解を促す。今後はcyclosporinの長期的効果と,投与量や投与期間について検討が必要である。 |
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