編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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UK Prospective Diabetes Study (UKPDS) Group.: Effect of intensive blood-glucose control with metformin on complications in overweight patients with type 2 diabetes (UKPDS 34). Lancet 1998; 352: 854-865. [PubMed]

厳格な血糖コントロールによって糖尿病合併症のリスクが減少することはエビデンスがある。この文献では肥満のある2型糖尿病患者において,metforminを使った場合に,SU剤やインスリンを使った場合と比較し,血糖コントロールで得られる以上の効果(合併症のリスクの減少)が期待できることを示している。しかしこの試験ではさまざまな問題点がある。まず介入以外の治療が等しく行われたか(たとえば食事療法をどの程度できていたかなど)については,バイアスがかかっている可能性がある。また従来療法群で食事療法のみだったのは最終的には2割しかいないなど,実薬の効果を純粋に比較することはできないなどである。また,人種差やmetforminの投与量が日本においては最大で750mg/日であり,この文献では2550mg/日と投与量に大きな隔たりがあり,日本の臨床の場において,そのままあてはめて考えるには無理がある。【三輪真也】
診断早期の肥満2型糖尿病患者において,metforminが他の治療法に比べ糖尿病関連エンドポイント発症抑制効果が高いかどうかを検討している。その結果,metforminはインスリン,SU剤による治療に比べ糖尿病関連エンドポイント発症のリスクを減少させることを示し,体重も増加させないことが明らかになった。近年,見直されてきたmetforminの評価を確固なものとしたスタディである。ただし投与量について注意が必要である。わが国での1日最大可能投与量(750mg)でも同様な効果があるかどうかは,このスタディの結果からは不明である。わが国における新たな臨床試験によるエビデンスが必要となろう。【河盛隆造

●目的 肥満の2型糖尿病患者にmetformin(ビグアナイド)を利用した場合に,合併症のリスクが減少するか否かを検討した。一次エンドポイントは,糖尿病に関連したエンドポイント,糖尿病関連死,全死亡。二次エンドポイントは,心筋梗塞,脳卒中,末梢血管疾患,細小血管合併症。
●デザイン 無作為,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均10.7年。
●対象患者 1704例:UKPDSに登録された4075例中,新たに2型糖尿病と診断された肥満(>理想体重の120%)患者。25~65歳(平均年齢53歳)。
●方法 従来療法群(24%:411例)と,以下の投薬にて空腹時血糖6.0mmol/L未満を目標とする厳格な血糖コントロール群とに無作為に割付け。metformin(20%:342例),スルホニル尿素(SU)chlorpropamide(16%:265例),glibenclamide(16%:277例),インスリン(24%:409例)。従来療法群では基本的に食事療法のみとし,空腹時血糖が15mmol/Lを超えてしまう場合と高血糖症状がみられる場合には,症状を回避し空腹時血糖15mmol/L未満を維持するために,上記の4剤を使い非強化薬物療法とした。
2つ目の検討として,SUによる厳格な血糖コントロール群に割り付けられた1234例の肥満および非肥満患者において,極量のSU投与でも空腹時血糖6.1~15.0mmol/Lであった537例を,SU単独継続投与群(269例)またはSUとmetformin併用投与群(268例)に無作為に割り付けた。
●結果 10年の追跡調査期間中,HbAの中央値はmetformin群で7.4%,従来療法群で8.0%であった。他剤による厳格な血糖コントロール群のHbAはmetformin群と同様であった。
従来療法群と比較しmetformin群では,糖尿病に関連したエンドポイントが32%,糖尿病関連死が42%,全死亡が36%低下した。また,他剤による厳格な血糖コントロール群との比較では,metformin群では糖尿病に関連したエンドポイント,全死亡,脳血管障害において,より大きい効果を示した。
一方,SU投与にて十分にコントロールができなかった患者に,早期にmetforminを併用すると,SU単独継続投与に比して,糖尿病関連死のリスクが増加した。これは偶然が極端に作用したためと考えられ,すべてのデータを組み合わせて分析したところ,metformin追加によりSUまたはインスリンによる厳格なコントロール群と同等の効果が認められ,糖尿病に関連したエンドポイントが19%低下した。
●結論 肥満のある2型糖尿病患者において,metforminを使って厳格な血糖コントロールをめざした場合,SUなど他剤による厳格な血糖コントロールに比して,より合併症のリスクが減少した。また,metforminを使った群では体重増加が少なかった。