編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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UK Prospective Diabetes Study (UKPDS) Group.: Intensive blood-glucose control with sulphonylureas or insulin compared with conventional treatment and risk of complications in patients with type 2 diabetes (UKPDS 33). Lancet 1998; 352: 837-853. [PubMed]

高インスリン血症が血管合併症促進に働くことを示唆するデータが報告されているが,厳格な血糖コントロールを得ることが細小血管症の進展予防には大事であり,それに伴うインスリン濃度の増加は少なくとも促動脈硬化には働かないことが明らかとなった。【野見山 崇】
診断早期の2型糖尿病患者において,血糖コントロールによって糖尿病性合併症の発症が予防できるのかを検討した長期大規模試験である。集中治療群において血糖コントロールが十分ではないこと,従来治療群に比べ体重増加がみられ食事療法の遵守されていない疑いがあることなどの問題があるが,それにもかかわらず,さまざまな糖尿病関連エンドポイント発症が血糖コントロールによって予防されたことを示した。【河盛隆造

●目的 厳格な血糖コントロールが心血管イベントに及ぼす影響を検討した。エンドポイントは糖尿病に関連した疾患の発症および増悪,糖尿病関連死,全死亡。
●デザイン 無作為,オープン,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は10年。
●対象患者 3867例:新規に診断された空腹時血糖(FPG)6mmol/L以上の2型糖尿病患者。25~65歳。食事療法(低飽和脂肪酸,高繊維,炭水化物が50%カロリー)3ヵ月施行後も6≦FPG≦15mmol/L。
除外基準:尿中ケトン3mmol/L以上,血清クレアチニン175μmol/L以上,心筋梗塞,狭心症,心不全の既往,悪性高血圧,内分泌疾患,インスリン注射が不可能な職種,重篤な全身疾患。
●方法 患者を集中治療群(I群)2729例と従来治療群(C群)1138例に分け,I群はFPG≦6mmol/Lを目標にスルホニル尿素(chlorpropamide,glibenclamide,glipizide)やインスリンを投与,C群は食事療法のみで可能な限りの血糖コントロールを行い,合併症の進行,心血管イベントの発症,生存率を比較した。
●結果 I群ではC群に比し,糖尿病関連のエンドポイントが12%(p=0.029),糖尿病関連死が10%(p=0.34),全死亡率が6%(p=0.44)低値を示した。また,細小血管症ではI群では25%の低下を認めた(p=0.0099)。しかし,大血管症では差を認めなかった。I群ではC群に比し低血糖が高率に認められ(p<0.0001),内容としてはC群0.7%,chlorpropamide 1.0%,glibenclamide 1.4%,インスリン1.8%であった。I群ではC群に比し有意な体重増加を認め(平均2.9kg,p<0.001),インスリン4.0kg,chlorpropamide 2.6kg,glibenclamide 1.7kgとインスリンで顕著であった。
●結論 2型糖尿病患者において,厳格な血糖コントロールは細小血管症の進展は軽減するが,大血管症については不明であり,低血糖・体重増加のリスクを伴う。