編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Lewis EJ, Hunsicker LG, Bain RP, Rohde RD: The effect of angiotensin-converting-enzyme inhibition on diabetic nephropathy. The Collaborative Study Group. N Engl J Med 1993; 329: 1456-1462. [PubMed]

captoprilに腎保護作用があることを示したはじめての大規模臨床試験であり,今日ACE阻害薬が糖尿病性腎症治療の第一選択薬として使用されるに至る基礎となった論文である。【稲葉宗通】

●目的 ACE阻害薬captoprilの糖尿病性腎症における降圧効果と腎保護作用について検討した。一次エンドポイントは血清クレアチニン(Cr)が基礎値に対し2倍。二次エンドポイントは全死亡,透析,移植。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設。
●試験期間 追跡期間は3年(中央値)。
●対象患者 409例:30歳以前で発症し,少なくとも7年以上の糖尿病歴を有し,腎症を伴ったIDDM患者。18~49歳。糖尿病網膜症をもち,尿中蛋白排泄量≧500mg/日,および血清Cr≦2.5mg/dL。
除外基準:妊婦,標準的食事療法から逸脱している者,白血球数<2500mm³,心不全(NYHA III度以上),血清カリウム値≧6mmol/L。
●方法 captopril群207例(25mg×3回/日)。プラセボ群202例。降圧目標の140/90mmHgに維持できない場合は,ACE阻害薬とCa拮抗薬以外の降圧薬が投与された。
●結果 ベースラインでの2群間の患者背景に尿中蛋白排泄量以外,有意差なし。血圧は全期間を通して2群間で有意差はなかった。
一次エンドポイントの血清Cr値が2倍になった症例は,プラセボ群43例に対し,captopril群25例と有意に少なく(p=0.007),そのリスクをcaptoprilは48%,ベースラインのCrが2.0mg/dLのグループでは76%減少させた。二次エンドポイントの全死亡,透析および移植において,captoprilはそのリスクを50%減じた。クレアチニンクリアランス(Ccr)の平均減少率はプラセボ群17±20%/年に対し,captopril群では11±21%/年と,有意にCcrの減少が抑制された(p=0.03)。その傾向はCrが高いグループでより明らかであった(プラセボ群37±25%/年,captopril群では23±25%/年)。
●結論 captoprilはIDDM患者における腎症の進展のみでなく,全死亡,透析および移植への移行をも抑制した。captoprilは血圧を介さない腎保護作用を有する。